2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K18470
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
FAWCETT JEFFREY 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究部, 特任研究員 (50727394)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 集団ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ゲノム中の各領域・サイトがどういう役割を果たしており、表現型とどう結びついているのかについて、比較ゲノム解析や集団ゲノム解析を通して 迫っていこうというものである。なかでも遺伝病と関係のある領域がどのような特性を持っているか、そういった領域をどのように同定できるかをより明らかにしていこうというのが大きなテーマである。我々は疾病など様々な表現型に関する見識が充実しているウマについて、生産・育種を行なっている日高育成牧場の 研究者と協力関係を築き、研究を進めている。これまで日高育成牧場からウマ数百頭のDNAサンプルをいただき、Illumina SNP Chipを用いて同定したゲノム中の数十万のSNPを用いた集団ゲノム解析を行なってきた。本年もまた新たに100頭近くのDNAサンプルを入手し、同様にSNPを同定して解析に追加した。本年は特に、 遺伝病と大きく関係しているとされている近親交配(インブリード)に着目した解析を行なった。まず、血統情報から推測されるインブリードの度合いを算出し、さらに、ゲノム中に見られる過去のインブリードの結果と思われるホモ接合領域を同定した。この結果、ウマのゲノムは血統情報から推測されるよりはるかにインブリードの度合いが濃く、ウマの成立初期の家畜化のプロセスでたくさんのインブリードが行われた結果を反映している可能性が高いことがわかった。昨年末にこれらの研究成果をウマ科学会において報告し、現在投稿論文を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自のサンプルを用いた集団ゲノム解析を進めることができており、特に遺伝病と大きく関係していると思われるインブリードがゲノム構成に与える影響に関する重要な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずこれまでの研究成果をまとめた原著論文を国際誌に投稿する。また本年もサンプルを追加し集団ゲノム解析を進め、遺伝病の候補領域の特徴を探る。特に現在、遺伝病の疑いのある骨の疾患に関する表現型の情報とこの疾患を発症している馬のサンプルを優先的に集めてもらっており、原因領域の特定を目指す。
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Causes of Carryover |
DNA抽出やSNPの同定にかかる費用を共同研究者が負担したため。次年度はさらにサンプルを追加することを念頭においており、その分のDNA抽出やSNPの同定に助成金を使用する予定である。
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