2018 Fiscal Year Annual Research Report
Direct impacts of Procambrus clarkii on rare plant and animal species
Project/Area Number |
16K18481
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岸本 圭子 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (80525692)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 侵略的外来生物種 / DNAバーコーディング / アメリカザリガニ / 捕食-被食関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査地に侵入したアメリカザリガニの胃内容の直接観察から、全胃内容物の50%以上が植物由来の餌生物に偏っていた個体は94.5%で、植物由来の餌生物に依存している個体が多いことが示唆された。また、体サイズによる違いは、今回はみられなかった。胃に残された餌生物のDNA情報をもとに行った実験では、植物は、ガマ科、カヤツリグサ科、タデ科、キク科、ミズキ科、ブナ科が餌候補であることが推測された。ガマ科、カヤツリグサ科は、直接餌として利用され、ミズキ科、ブナ科は、落葉が利用されているものと考えられた。直接観察による調査では、91個体のうち27個体で動物由来の餌を利用していることがわかった。昆虫類では、ゲンゴロウ類などの水生生物がわずかに確認されたほか、陸生のアリが比較的よく出現した。DNA実験では、クモ類、カメムシ類、ハエ類(ユスリカ科を含む)、ハチ類、甲虫類カミキリムシ科、オサムシ科が餌候補として推定された。アメリカザリガニは水域に落下した昆虫類を頻繁に摂食すると考えられた。また、27個体中11個体の胃内容からはアメリカザリガニが検出された。そのうちのほとんどの個体が、水生植物の被覆割合が低いビオトープで捕獲されていた。今回の調査では希少な水生動物の出現が確認できなかったことや、動物由来の生物への依存度が低いと考えられたことから、調査地においては、希少な水生生物を直接捕食することによるインパクトは低いと予想される。一方で、ガマ科に含まれる水生生物の中には希少な水生生物の産卵植物も含まれており、切除するだけでなく、直接摂食によっても、水生生物に間接的な負の影響をもたらしている可能性が予想された。
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