2016 Fiscal Year Research-status Report
オランウータンにおける近赤外分光法を用いた迅速な糞中発情ホルモン濃度測定法の確立
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16K18482
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 こづえ 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (50724233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 性ホルモン / 近赤外分光法 / 野生動物 / 繁殖モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
希少種の繁殖を成功させるためには、雌の交配適期を迅速に予測することが重要である。 本研究ではボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus)に着目して、飼育現場および生息地の野外で迅速かつ簡便に交配適期を特定する手法を近赤外分光法を用いて確立することを目的として研究を行っている。 初年度に当たる今年度は、これまで研究を行ってきた近赤外分光法を用いたオランウータンの排泄物、特に尿を用いた簡易および迅速な発情モニタリング(性ホルモンモニタリング)手法に関する研究成果をまとめ、英語論文を1編公表した。また、本種の正常出産と死産時の妊娠中の内分泌動態に関しても別に英語論文を1編公表した。これらの研究成果を踏まえて、尿を使った従来の研究手法に加えて、多くの動物で採取が容易な「糞」を用いた近赤外分光法による迅速および簡便な発情ホルモン濃度測定を試みた。 本年度は特に、糞に直接近赤外線を照射して測定する方法【直接法】を検討した。しかし、これまでの研究で用いてきた尿とは異なり、糞は多くの夾雑物を含む。そのため、糞に直接近赤外線を照射すると散乱を起こし、スペクトルが複雑化することが確認された。そこで【直接法】に加えて、、特定のホルモンを結合させる「ラテックス抗体」を用いて測定する方法【ラテックス凝集法】を検討し、測定精度の向上を図ることとした。 他にもホルモン濃度測定に関する研究について論文の共著者となり、指導する学生らの学会発表の共著者にもなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
排泄物、特に尿を用いた近赤外分光法による発情モニタリングについて英語論文および国内外の学会にて研究成果を公表した。実験に関しては、本年度に確認予定であった【直接法】の検討を行うことができた。本研究結果を踏まえて、次年度に検討を行う予定であった【ラテックス凝集法】について、すでに研究を着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は【ラテックス凝集法】に焦点を当てて近赤外分光法による発情モニタリング法の開発を行う。まずは標準物のみを用いて、ラテックス凝集法によって既知のホルモン濃度を測定できるのかどうかを検討する。そのうえで、糞にラテックス溶液を混和し、目的のホルモンを検出できるのかどうかについて詳細に調べる。
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Causes of Carryover |
初年度ということもあり、研究成果が学会発表の水準までに達しなかったため、学会などへの出張が予定より少なかったことが挙げられる。また、消耗品などの物品費が安価であり、購入数も予定より若干少なかったことも挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額に関する使用計画としては、新たな分析手法に関わる物品の購入、および学会参加のための旅費と国際誌への論文投稿に関わる英文校閲および投稿料として使用すること、などを計画している。
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[Journal Article] Urinary sex steroid hormone and placental leucine aminopeptidase concentration differences between live births and stillbirth of Bornean orangutans (Pongo pygmaeus)2017
Author(s)
Kinoshita K, Sano Y, Takai A, Shimizu M, Kobayashi T, Ouchi A, Kuze N, Inoue-Murayama M, Idani G, Okamoto M, Ozaki Y.
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Journal Title
Journal of Medical Primatology
Volume: 46
Pages: 3-8
DOI
Peer Reviewed
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