2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期依存的なセントロメアタンパク質ネットワークの配置変換の制御機構とその意義
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16K18491
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 昌稔 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (30565099)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キネトコア / CCAN / 分裂期 / M期キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構成的セントロメアタンパク質ネットワーク (CCAN) の細胞周期依存的な動的ネットワーク変換の制御機構およびその意義の解明を目的としている。これにより、遺伝情報を次世代へ正確に継承するための分子機構の理解につながる。 CCANの構成因子のひとつCENP-Cは、CCAN内でのその結合様式が細胞周期の間期と分裂期 (M期) とで変化することが示されていた。そのため、このCENP-Cの細胞周期依存的なCCAN内結合機構を明らかにすることで、CCANの動的ネットワーク変換機構の理解できると考えている。 CENP-Cの中央領域断片またはC末領域断片を細胞に発現させると、それぞれ間期のみまたはM期のみにセントロメアへ局在する。これら断片の細胞周期依存的な局在機構を、M期のリン酸化にとくに着目して解析を行い次のような結果を得た。 1) M期に同調させた細胞を用いて、CENP-Cのイムノブロットを行ったところ、まず全長CENP-CはM期にリン酸化されることが確認された。さらにCENP-C中央領域断片およびC末領域断片について解析したところ、どちらの断片も細胞内でM期特異的なリン酸化を受けることが明らかとなった。 2) M期にリン酸化されたCENP-Cを免疫沈降し質量分析したところ、CENP-C中央領域およびC末領域におけるリン酸化部位が同定された。またそれらのリン酸化サイトにはM期キナーゼのリン酸化コンセンサス配列が含まれることがわかった。 これらの結果は、M期キナーゼによるCENP-CのCCAN内結合変換機構の解明へ向けた重要な足がかりとなることが期待される
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、当初の計画にしたがって、1) CENP-CのM期特異的なリン酸化の検出および、2) そのリン酸化サイトの同定をすることができた。また、予想されたように、CENP-Cの中央領域ならびにC末端領域に、M期キナーゼのコンセンサス配列部位にリン酸化が見られた。さらに、これらのリン酸化部位のAla置換変異体を作製し、細胞内で発現させた。その結果、いくつかのサイトが細胞内で実際にリン酸化されていることを確認できている。以上のことから、研究課題は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は計画通りに進んでいる。同定されたCENP-Cのリン酸化部位をさらに解析することで、どのリン酸化部位がCENP-CのCCAN内での配置転換に関与するかを明らかにする。さらにその配置転換の意義を見出したい。
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Causes of Carryover |
計画していたCENP-Cリン酸化サイト同定が円滑に進んだことにより、当初の予定よりもそれにかかる生化学実験および細胞培養費用が抑えられた。また、当該年度では、研究遂行を優先しため、海外学会への参加を見合わせた。その結果、これらに計上されていた費用が次年度へ繰り越しされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、CENP-C変異体の細胞内での局在および、その変異体の他のキネトコアタンパク質との相互作用をin vivo、in vitoro の双方で解析する予定である。そのための分子生物学、生化学、細胞生物学、細胞培養試薬の物品費として使用する。繰り越された予算を合わせることで、より詳細な解析を行うことが可能である。また得られた結果を、国内外の学会で発表するための旅費および、論文発表するための経費として計上する。
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Research Products
(1 results)