2017 Fiscal Year Research-status Report
グリシンを結合するイソロイシンtRNAは翻訳以外で機能するか?
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16K18493
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
冨川 千恵 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (60527696)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RNA / タンパク質 / 翻訳 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳酸菌に存在する機能未知RNAの機能解明と、当該RNA分子が生体へ及ぼす影響を明らかにすることを目的としています。平成29年度は、以下の項目に重点を置き研究を遂行し、いくつかの成果をあげることができました。 (1)tRNAIle(UAU)様分子が翻訳に利用されているか→乳酸菌タンパク質発現システムを利用し、AUAコドン翻訳に当該RNAが利用されるか解析を行ったところ、通常栄養条件下では、翻訳に利用されないということが明らかになった。翻訳伸長因子との結合活性をみても、非常に結合能が悪いことから、現在のところ当該RNAが翻訳に利用されている可能性は非常に低いと判断しています。 (2)tRNAIle(UAU)様分子が結合するタンパク質が存在するか→親和性タンパク質を複数同定することができています。さらに、これら因子が当該RNAに特異的に結合しているものか解析をすすめているところです。 (3)遺伝子破壊株解析→当研究室において、乳酸菌遺伝子破壊系を扱うことができるようになりましたが、tRNA修飾酵素tilS遺伝子破壊株は現在のところ得られていません。当該遺伝子破壊株は、大腸菌で致死性を示すことからも、乳酸菌でも致死である可能性は高いと考えられます。乳酸菌に2つ存在するtRNAIle(UAU)遺伝子各々の一遺伝子破壊株を得ることができ、現在、二重遺伝子破壊株を準備しているところです。 これまで明らかになったことを、論文にまとめることができました(Tomikawa et al. 2018 J Biochem.163(3) 233-241)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を論文にまとめることができ、学会でも発表することができています。遺伝子破壊株作製に苦戦しておりましたが、ようやく当研究室での破壊株作製系を確立することができ、今後、破壊株解析がスムースに進められるものと期待できます。また、tRNAIle(UAU)様分子に関係すると考えられる因子の候補を複数あげることができていることから、「おおむね順調に進展している」と評価しました。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度計画を継続するとともに、乳酸菌無細胞翻訳系を調製し、tRNAIle(UAU)の翻訳利用について明らかにします。また、tRNAIle(UAU)と候補となっている親和性タンパク質との生化学解析を進め、当該RNAの機能解明を目指します。
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