2017 Fiscal Year Research-status Report
Toll-like receptor 9のヒト特異的な基質認識メカニズムの解明
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16K18504
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
成田 宏隆 大阪大学, たんぱく質研究所, 特任助教(常勤) (40598257)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結晶構造解析 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト免疫系において、先天的に備わっている「自然免疫」を活性化する免疫賦活剤は、ワクチンの効果(「適応免疫」の獲得)を最大限に発揮するために必須の構成成分であり、これらに関わる受容体を特異的に活性化させるアジュバント開発やその作用機序解明の研究が精力的に行われている。特に、Toll様受容体TLR9のリガンドである非メチル化CpG DNAは強力な自然免疫活性化能と簡便に作成できる点で新規アジュバントとして注目されている。本申請課題では、主としてX線結晶構造解析による立体構造に基づきヒト由来TLR9の種特異的な基質認識メカニズムを解明することを目指している。本年度では、下記の項目の研究計画を実施した。 1. 結晶化条件探索:これまでに確立した調製法による膜ドメインを含むヒト由来TLR9では結晶をえることができなかったため、精製方法の再検討を進めた。具体的には、結晶化に大きく影響をあたえると考えられる界面活性剤、修飾糖鎖の除去、発現領域の再検討を進めた。評価方法には、動的光散乱法、ネガティブ染色法による電子顕微鏡観察、結晶化スクリーニングにより行った。特に、電子顕微鏡像から高い単分散性の試料調製に成功している結果を得た。 2. CpG DNAとの相互作用解析:調製したヒト由来TLR9について、detergent micelleおよびnanodisc存在下において、等温滴定カロリメトリーを用いた相互作用解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶構造解析:結晶化スクリーニングを実施するために必要な高純度膜タンパク質は得られている一方で、本年度においても解析可能な結晶を得ることはできていない。このため構造解析に大きな進展はなかった。しかし、調製タンパク質の評価に用いているネガティブ染色による電子顕微鏡像からは、高い単分散性の調製タンパク質が得られていることがわかり、今後の結晶創出に大きな期待が持てる。 ヒト特異的な相互作用解析:リガンドとの相互作用解析のおける問題はこれまでのところなく、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、熱安定性・単分散性を指標に発現領域の最適化、タンパク質の均一化を進め、膜タンパク質に用いられている多くの手法を用いて大規模結晶化スクリーニングを実施し、結晶構造解析を精力的に進める計画としている。
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