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2016 Fiscal Year Research-status Report

異物認識レセプターの病原菌外膜タンパク質認識機構の解明

Research Project

Project/Area Number 16K18506
Research InstitutionHigh Energy Accelerator Research Organization

Principal Investigator

田辺 幹雄  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (00716871)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords外膜タンパク質 / ヒト異物認識受容体 / X線結晶構造 / 感染症
Outline of Annual Research Achievements

グラム陰性菌の外膜に存在するβバレル状構造の外膜タンパク質ポリンは、細菌の生命活動に必須な基質を輸送だけでなく、ヒト異物認識受容体Toll-like受容体(TLR)を介し、免疫誘導・獲得にも重要な役割を果たす。本研究は、生化学・構造生物学の手法を中心に用いて、1) TLRによるポリンの認識機構、シグナル開始機構解明を目指すと同時に、TLR-ポリン複合体の解析を目指す。また2)ポリン自身の解析を進めることにより、共通特徴を探り、菌体への役割の解明を目指している。
1)については、グラミジア由来のポリンの構造を行ない、ループを改変し、Neisseria Lactamica由来のポリンにグラミジアのポリンのループを結合させたキメラ体を解析して、サイトカインの解析を行っている。特にループのアミノ酸配列が多種多様なループ領域は、TLRを介した免疫応答に重要なことが明らかになってきた。TLRについては酵母を用いて、発現精製を行なった。しかし精製できたと考えていたタンパク質は安定性に乏しく、翌日には沈殿してしまうなど改善を要する事がわかった。
2)に関しては、髄膜炎由来のポリンのあるループ変異体ではアンピシリンやテトラサイクリンなどの抗生物質の耐性を与えることが分かっている。この変異体の結晶構造を解析し、またシングルチャネルの電気生理学、輸送活性解析を行った。細胞内突き出したループ3番への変異により、チャネルの基質輸送経路の電荷が変化し、また物理的に輸送経路が妨害されていることが明らかになった。また一分子レベルでの検出可能な基質輸送アッセイより、チャネルのイオン輸送にも細かな基質輸送の待ち時間が存在することがわかった。また見かけの抗生物質の輸送活性が落ちていることから、この変異体は抗生物質の流入を妨げている可能性を示唆した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

TLRとの複合体の解析については、酵母に発現し精製したTLRが不安定であることが多く、複合体の生化学的・構造学解析には当初の予定より踏み込んで行えなかった。しかし細胞生物学的なアッセイ系を用いて、ポリン変異体と免疫応答の解析に関しては、共同研究通して期待以上の成果を挙げられた。現在は免疫応答に重要であるループ領域も分かりつつある。また抗生物質の輸送に関しても髄膜炎菌の外膜に介した輸送についても新たな知見が得られている。構造解析も変異体の構造解析には成功し、またコントロールとなるTLR非リガンドのポリンの構造も決定できたことから、全体としては当初の予定と同等の結果が得られていると考えている。

Strategy for Future Research Activity

まず第一に、現在取り組んでいる髄膜炎菌ポリンの抗生物質の輸送に関する研究成果を発表することを目標とする。既に構造解析には成功し、生化学、電気生理学とのデータを組み合わせた解析についての論文を共同研究者と投稿への準備を開始したところである。まずこれらの完成と投稿を本年度の第一目標とする。TLRの発現、精製に関しては酵母Pichia pastoria、Saccharomyces cerevisiaeにおいて発現、精製は成功したものの、安定性に問題があり、精製後1日で凝集や沈殿が起こってしまう事が起こる。これらは精製の純度とホモジニアスでない事に問題を抱えているのでは無いかと考えている。そのため昆虫細胞での発現系か無細胞を用いた実験系を検討中であるが、こちらはより長いスパンで進行を見ていく必要があると感じている。細胞でのTLR経路を介したサイトカイン産生に関してはループ変異体とサイトカイン産生について既に初期段階の情報を得た。現在構造モデルの構築に取り組んでいるため、こちらの相関を得る様なモデルを構築できることを目標にしている。

Causes of Carryover

3月期に購入しようと考えていた、試薬の納期が末日までに間に合わず、年度のまたいだ支出を念のため控えたため2万円強の予算を繰り越すことになりました。

Expenditure Plan for Carryover Budget

DNAを全合成したクローンの作製と、膜タンパクの精製に有効となる蛍光ライトを購入を既に予定している。

  • Research Products

    (5 results)

All 2016 Other

All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] タフツ大学(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      タフツ大学
  • [Int'l Joint Research] Istituto Superiore di Sanita(イタリア)

    • Country Name
      ITALY
    • Counterpart Institution
      Istituto Superiore di Sanita
  • [Int'l Joint Research] ゲッティンゲン大学(ドイツ)

    • Country Name
      GERMANY
    • Counterpart Institution
      ゲッティンゲン大学
  • [Int'l Joint Research] ダンディー大学(英国)

    • Country Name
      UNITED KINGDOM
    • Counterpart Institution
      ダンディー大学
  • [Journal Article] Typing and surface charges of the variable loop regions of PorB from Neisseria meningitidis.2016

    • Author(s)
      Stefanelli P., Neri A., Tanabe M., Fazio C., and Massari P.
    • Journal Title

      IUBMB Life

      Volume: 68 Pages: 488-495

    • DOI

      10.1002/iub.1508.

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16   Modified: 2022-02-21  

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