2017 Fiscal Year Research-status Report
立体構造とアミノ酸判別に基づくNMRシグナル帰属法の開発
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16K18508
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
葛西 卓磨 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (70446516)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 蛋白質 / NMR / アミノ酸選択的安定同位体標識 / 符号化標識法 / 側鎖シグナル帰属 / 大域的最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、核磁気共鳴(NMR)によるタンパク質解析において、高分子量タンパク質であってもシグナル帰属をおこなえるようにするため、代表者が開発した、少ない標識体数でアミノ酸の情報が得られる安定同位体標識法である符号化標識法を活用するものである。基本的なアイディアは、符号化標識法により、従来使われていた原子間NOEや常磁性効果とは独立した情報である近傍アミノ酸情報を取得し、計算機による探索によって帰属をおこなうというものである。昨年度までに、近傍アミノ酸情報を得るためのNMRスペクトルが想定通りのシグナル強度比で得られることを確認し、正しく近傍アミノ酸情報が得られる目途がついた。本年度は、帰属のための計算機による探索について検討をおこなった。その結果、近傍アミノ酸情報を取り入れた評価関数を用いることで正しい帰属が得られること、すなわち、近傍アミノ酸情報の貢献により、正しい帰属ほど評価関数の値がよくなること、の見通しがたった。ただし、非常に広いパラメータ空間の探索が必要であり、その実装は来年度以降の課題である。ほかに、当初計画にはない高分子量タンパク質のシグナル帰属方法として、複数の符号化標識法を簡便な三重共鳴測定によって組み合わせる手法の開発を進めている。これは、当初の方法と補完関係にあり、より帰属精度を高めることのできる方法である。本年度は高分子量タンパク質への応用を進めた。主鎖のみを対象にするとしてもじゅうぶんに実用的な解析方法であると思われる。来年度は、いくつかの高分子用タンパク質を題材に、部位特異的相互作用解析をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に示した通り、当初計画に記した帰属法と、計画時点では考えていなかったが当初の方法を補完しお互いにより精度を高める別手法の両方について研究を進めている。前者は当初計画よりも遅れており、プログラム等の整備をおこなったうえで来年度に実際の帰属の検証に進めたい。後者は予想外に成果が得られつつあり、来年度に追加実験をして成果をとりまとめたい。全体としては研究期間の延長をおこなうこととなったことから、この区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に示した通り、当初計画の方法については、探索法や情報取得の方法の整備をおこなったうえで、計画に記したとおり帰属の検証を進めていく。一方、複数の符号化標識法を組み合わせる手法については、分子間相互作用解析への応用を進める。
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Causes of Carryover |
近傍アミノ酸情報を用いる帰属法について、探索法の開発等が遅れており、次年度に帰属検証実験をおこなうこととなったため、その経費に充てる。また、本研究で得られた成果を次年度に発表予定であり、その経費にも充てる。
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Research Products
(8 results)