2016 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレスにより活性化されるポリA付加酵素の構造機能解析
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16K18510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 征輔 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任助教 (30769576)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / TUTase |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒトの非古典的ポリAポリメラーゼのひとつであるStar-PAPについて、特異的なヌクレオチド付加反応の分子メカニズムを明らかにすることである。Star-PAPは、細胞の酸化ストレスに応じて活性化され、特定の標的mRNAの3'末端にポリA鎖を付加するポリAポリメラーゼとして働くことが報告されている。一方で、スプライシングの中心因子であるU6 snRNAの3'末端に数個のウリジンを付加する活性を持つことも示されている。しかしその立体構造は明らかになっておらず、分子基盤の解明が待たれている。 本年度はまず、昨年度までに得られていたX線回折データをもとにして、Star-PAPの単体および基質ヌクレオチド(UTPおよびATP)との複合体の構造精密化を完了させた。ヌクレオチドとの複合体立体構造はUTPに対する特異的認識を示唆するものであったため、特にU6 snRNAの3'末端へのU付加反応に着目することとした。立体構造に基づいてStar-PAPの野生型および様々な領域欠損変異体を組み換えタンパク質として調製し、in vitroでのヌクレオチド付加反応やRNA footprinting実験、ゲルシフト実験などを行った。これらの構造・機能解析から、1.いままで機能的なドメインとは考えられていなかったC末端側の領域がRNA結合ドメインとして働くこと、2.Star-PAPは、このC末端側領域とN末端側のRNA結合ドメインを協働的に用いることでU6 snRNAの広い範囲を認識して結合し、高い効率で3'末端にウリジンを付加していること、などを明らかにした。上記の結果を投稿論文にまとめ、現在改定作業中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトStar-PAPの単体、およびATPとUTPとの複合体の構造決定に成功し、投稿論文として改訂作業中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られた知見を発展させ、Star-PAPが酸化ストレスに応答して標的mRNAの3'末端にポリA鎖を付加するメカニズムの解明を目指す。
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