2016 Fiscal Year Research-status Report
新たなpH一定のシミュレーションによるアミロイドβのオリゴマー形成機構の解明
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16K18531
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
伊藤 暁 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (90595381)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アミロイド線維 / 分子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアミロイドベータペプチド(Abeta)の29番目の残基から42番目の残基までのフラグメントであるAbeta(29-42)のオリゴマー形成過程に関する研究をおこなった。このフラグメントはAbetaの膜貫通領域にあたり、Abetaのアミロイド線維形成はこの膜貫通領域により促進されることが実験的に確かめられている。また、このフラグメントのみでもアミロイド線維を形成することが知られている。しかしながら、このアミロイド線維やその初期段階に形成されるオリゴマーがどのように形成されるのかはいまだに明らかになっていない。そこで、Abeta(29-42)のオリゴマー形成過程を明らかにするために、水中のAbeta(29-42)四分子に対してクーロンレプリカ置換分子動力学シミュレーションをおこなった。クーロンレプリカ置換分子動力学シミュレーションは水中の生体分子系に対して少ない計算コストで構造空間の効率的サンプリングを実現するシミュレーションである。シミュレーションの結果、Abeta(29-42)が水中にバラバラに存在する単量体状態から各分子が順次集まることで四量体が形成されることが明らかとなった。また、自由エネルギー的には不利であるが、単量体状態から二量体が形成され、二量体同士が集まって四量体を形成する過程も存在することが明らかとなった。さらに、Abeta(29-42)のオリゴマー形成過程において、溶媒も重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究でAbetaフラグメントの四量体形成の詳細を明らかにすることに成功した。また、自作プログラムの更新を行い、最新の力場に対応できるようになった。今後、新たなpH一定のシミュレーションを実行できるように、さらに自作プログラムの更新を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
自作プログラムが最新の力場に対応できるようになったので、今後は新たなpH一定のシミュレーションを実行できるように、自作プログラムの更新する予定である。その後に、新たなpH一定のシミュレーションを用いたpH依存的アミロイド線維形成の研究に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた学会の日程は他の学会と重なり参加を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に開催される11th European Biophysical Societies' Association (EBSA) Congressに参加するために使用する。
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Research Products
(6 results)