2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of amino-acid selection in protein synthesis
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16K18532
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
森 義治 北里大学, 薬学部, 助教 (90646928)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アミノアシルtRNA合成酵素 / タンパク質合成 / 分子動力学シミュレーション / 配列解析 / 共変異 / 結合親和性 / 結合自由エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの計算では、スレオニルtRNA合成酵素(ThrRS)において結合するリガンドであるスレオニンのみを扱ってきた。しかしながらThrRSのスレオニン選択機構をより理解するために、スレオニン類似の分子であるセリンおよびヒドロキシノルバリン(非天然アミノ酸)の分子動力学計算を行った。スレオニンに対する結合自由エネルギーは、セリンやヒドロキシノルバリンのものよりも低くなることが分かり、リガンド選択性の事実と一致する結果が得られた。さらに、これらのアミノ酸間における結合自由エネルギーの差の由来は、スレオニン側鎖とThrRSに存在する疎水的なアミノ酸残基(Thr482, Ala513)との相互作用によるものであることを明らかにした。 さらに、ThrRSにおいてリガンド選択性に重要な役割を果たしているアミノ酸が生物学的に重要であるかを評価するために、配列解析を行った。様々な生物種におけるThrRSをタンパク質配列データベースから取得し、マルチプルアラインメントを作成した。ThrRSのThr482はほぼすべての生物種において保存されていることが分かり、リガンド選択性における重要性が明らかとなった。一方で、Ala513の保存性は比較的低かったが、新しい解析法であるアミノ酸の共進化解析を行うことにより、その重要性を明らかにした。Ala513は他の生物種において別のアミノ酸に変異していることもあるが、その際には協同的に他のアミノ酸にも影響を与えており、結果としてリガンド結合の選択性を保存していることが分かった。これらの考察を確かにするために、ThrRSのリガンド結合領域に変異をいれた系の分子動力学計算を実行した。保存されたThr482およびAla513の変異型は自由エネルギー的に不安定になることが分かり、ThrRSのリガンド選択性を決定するアミノ酸とその機構を明らかにすることができた。
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Research Products
(4 results)