2016 Fiscal Year Research-status Report
小胞体における不安定糖タンパク質と構造異常糖タンパク質の分解メカニズムの解析
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16K18538
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蜷川 暁 京都大学, 理学研究科, 特定研究員 (80647991)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小胞体関連分解 / タンパク質分解 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体内のタンパク質を分解する小胞体関連分解機構において、糖タンパク質は糖鎖依存分解経路で、非糖タンパク質は糖鎖非依存分解経路によって分解されると考えられてきた。しかし申請者らは、糖タンパク質の構造異常の度合いが低いと糖鎖依存分解経路のみで分解され、構造異常の度合いが高いと糖鎖依存、非依存分解経路の両者で分解される現象を発表した。その分子メカニズムの解析を行う。 今回、構造異常の度合いの高いもしくは低い糖タンパク質とのそれぞれの相互作用分子を網羅的に同定するため、細胞内で近隣タンパク質のBiotin化を行う新規方法を試みようとしている。この方法では、長時間結合しているタンパク質だけでなく短時間のうちに結合するトランジェントな結合タンパク質の同定が期待出来る。またSILAC法と組み合わせることにより、より特異的に結合して来るタンパク質を同定出来ることが期待出来る。 並行して他のグループから報告があった分子にも着目し、新規方法による遺伝子破壊株の作製を試みている。この分子は、構造異常と構造をとったタンパク質を見分けているという報告も有り、今回、糖鎖依存分解経路から糖鎖非依存分解経路へとtargetingするタンパク質の性質を持っていることを期待している。 本研究により同定出来たタンパク質は、アルツハイマー病やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などへの治療が期待できると考えられ、生命科学の基礎の知見として非常に重要な知見となる期待が持てる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造異常の度合いの高いもしくは低い糖タンパク質とのそれぞれの相互作用分子を網羅的に同定するため、細胞内で近隣タンパク質のBiotin化を行う方法を試みた。最初は、Biotin化を行うドメインを分子に連結させると小胞体内に局在できなくなったが、プロモーターを削り発現量を減らすことで、小胞体での局在性を維持することができた。また網羅的タンパク質同定のための予備実験として、細胞内でBiotin化が本当に出来るかどうかも検証した。その結果、近隣タンパク質のBiotin化を確認出来た。今後はこの系を用いて近隣タンパク質の同定を行いたい。
並行して他のグループから報告があった分子にも着目し、新規方法による遺伝子破壊株の作製を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
近隣タンパク質のBiotin化する系が立ち上がった。当初の計画通り、今後はこの系を用いて構造異常の度合いの高いタンパク質と低いタンパク質の近隣タンパク質の同定を行いたい。同定した分子が構造異常の度合いによって分解の仕方の違いに寄与しているかどうか、遺伝子破壊法などを用いて遺伝子破壊株を作製し、解析を続ける。また同定した分子は糖鎖非依存分解経路の中心因子としても機能している可能性が高いため、糖鎖非依存分解経路の基質の分解も検証して行く。並行して、他のグループから報告があった分子にも着目し、新規方法による遺伝子破壊株の作製を試みている。そしてPulse chase法などにより、分解への寄与を検証したい。
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Research Products
(1 results)