2017 Fiscal Year Research-status Report
ユニークな細胞分裂異常を示す温度感受性変異株における、変異遺伝子の同定と機能解明
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16K18540
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柏葉 脩一郎 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 助教 (40735461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞分裂 / 細胞質分裂 / 染色体分配 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の細胞分裂における染色体分配や細胞質分裂の不備は、ゲノムの不安定化や細胞のがん化を引き起こす。従って、その詳細を理解することは、生物学的にも医学的にも重要である。本研究では、制限温度(39℃)下において細胞分裂に失敗するマウス温度感受性変異株を用いることにより、哺乳類細胞における細胞分裂機構の理解を深めることを目的としている。 前年度は次世代シークエンス解析を行い、このデータをもとにこれら温度感受性変異株の温度感受性を示す原因変異を探索した。その結果、細胞質分裂に異常を示す温度感受性変異株(以後、細胞Aとする)について温度感受性を示す原因遺伝子を同定したが、本年度はこの遺伝子について更なる解析を行った。親株であるFM3A細胞において、ゲノム編集によりこの遺伝子をノックアウトしたところ、興味深いことにこの細胞も温度感受性を示したことから、この遺伝子産物は39℃では必須であるものの、32℃の低温環境下では必須ではないことが示唆された。また、生化学的解析により、この変異遺伝子産物の活性を解析しようと試みたが、タンパク質の安定性の問題があり、解析を行うに至らなかった。 前年度、原因変異を同定できなかった温度感受性変異株(以後、細胞Bとする)については、本年度の研究の中で、39℃でも生育する復帰突然変異体を取得した。そこで、この復帰突然変異体についても次世代シークエンス解析を行い、細胞Bには存在していない変異を網羅的に同定した。これら変異のうち、いずれかが細胞Bを温度感受性から回復させると考えている。また、細胞Bについてはタイムラプス観察を行い、制限温度下において染色体分配に異常を示すという知見を得た。染色体分配に関与することが既知の遺伝子については目立った変異は見当たらず、今後の解析により、染色体分配に関する新たな知見が得られることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞Aの原因変異については、当該遺伝子の機能に関する新たな発見を得るに至っているものの、生化学的解析を行うにあたり、精製したタンパク質が途中で析出してしまい、現在まで解析できていない。細胞Bについては染色体分配に異常を示すことを明らかにしたが、原因変異の特定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞Aの原因変異については、タンパク質の精製に用いるタグ、精製条件、保存条件等を検討した後、その活性について解析する。細胞Bについては復帰突然変異体の情報を有効活用して原因変異の探索を続ける。また、これまで行ってきたエクソーム解析は、発現していない遺伝子の変異も検出することから、多くの情報により原因変異がマスクされていると考えている。そこで今後はRNA-Seqを行い、発現している遺伝子の情報を得ることで原因変異の探索に役立てたい。
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Research Products
(4 results)