2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18550
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 昌和 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (60580496)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞競合 / Tead活性 / エピブラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
組織内において細胞の状態はゆらいでおり、時にその組織内では不適切な状態となる。そのような細胞が排除されずに残り続けると組織レベルの機能破綻に繋がるケースが考えられる。そのため、組織の機能・恒常性を保つには細胞競合現象によって不適切な細胞を排除することが必要であると考えられ、事実がん化前駆状態の細胞は周囲の細胞によって排除されることが培養細胞やハエを用いた解析から明らかになっている。しかし、マウスの個体発生において細胞競合がいつどこで何のためにおこっているのか、その生物学的意義やメカニズムはこれまでMyc依存的なものがE6.5においておこるという現象の報告以外、ほとんど解析されておらず、不明な点がおおい。本研究ではHippo経路に属する転写因子Teadとその共役因子Yapに着目してマウス個体発生における競合現象を解明した。先行研究として当研究室では、線維芽細胞NIH3T3においてTead/Yapの転写活性(以下、Tead活性)依存的に細胞競合がおこることを示した(Mamada et al JCS 2015)が、マウスのin vivoの状況でこのTead活性依存的な細胞競合現象が起こるのか不明であった。そこで2細胞期の片割球にCAS9蛋白質とTead1 gRNAをインジェクションすることでTead1変異モザイク胚を作成した。Tead1 KO胚自体はE7まで正常に発生するが、このモザイク胚においては、Tead1変異細胞が着床前にエピブラストから排除されいていたが、胚体外組織では排除されなかった。この結果はエピブラストで、Tead活性が必要であることを示唆している。これまで、エピブラストでTead活性があがる仕組みやその生物学的意義について大きな成果があげられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初はさまざまな遺伝子を候補に、競合現象を起こすものをみつけることを目的としていた。幸運にもすぐにTead1が初期発生における競合に関わることが見出せたが、その競合における分子メカニズムや生物学的意義についての解析に予想外の時間がかかってしまった。しかしながら全体を通してみれば、おおむね順調に進展しているといえ、論文投稿の準備段階まで至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた研究成果をもとに、論文投稿を行う。今後は、Tead1変異細胞がモザイク胚においてどのように異常細胞と認識され、排除されるのか?その分子メカニズムに迫りたい。投稿論文において必要だと思われる補足的な細かいデータ取得などをおこなう。
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Causes of Carryover |
論文投稿に際して追加実験が必要となり、それにかかる消耗品の購入や、学会発表における交通費などの拠出に使用する。
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