2016 Fiscal Year Annual Research Report
転写伸長促進機構を分子基盤とした生殖細胞の特性形成メカニズム
Project/Area Number |
16K18552
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高崎 輝恒 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30615539)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 転写伸長 / C. elegans / 生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞は次世代を生み出すことができる特別な細胞である。多細胞生物はゲノム情報を巧みに発現調節することで多種多様な細胞を生み出すが、生殖細胞の特性を生み出す遺伝子発現制御のメカニズムについては依然として不明な点が多い。本研究は、生殖細胞の特性形成に係る遺伝子発現制御機構を明らかにするため、転写伸長促進機構に焦点をあて、その仕組みを分子レベルで解明することを目的として実施した。 mRNA転写を担うRNAポリメラーゼIIは、プロモーター領域に集結したのち転写開始点のやや下流で一時的に転写反応を停止させる。その後、転写伸長促進機構の制御を受けて転写反応を再開させる。研究代表者は、線虫C. elegansを実験材料に用いてクロマチン免疫沈降実験を行うことにより、ヒストン修飾状態をゲノム全域に渡って解析した。そして転写開始点の下流域で、生殖細胞分化に係る遺伝子群を特徴付けるヒストンアセチル化修飾パターンを発見した。このヒストンアセチル化修飾パターンが目印となり、生殖細胞分化に係る遺伝子群の転写伸長を選択的に促進している可能性が考えられた。 そこでこの過程をより詳細に解析するため、転写伸長促進機構の鍵酵素であるP-TEFbに免疫沈降用の標識を付加し、線虫内で発現させた。一般に、線虫の生殖細胞では外来遺伝子の発現が抑制される傾向にあるが、標識したP-TEFb遺伝子の単一コピーをMos転移酵素を利用して任意の遺伝子座に挿入することにより、正しく発現させることに成功した。またこのとき、標識したP-TEFbを生殖細胞特異的に発現させるため、体細胞で蛋白質分解の標的となるZF1タグを付加した。その結果、初期胚では期待通りの結果、すなわち体細胞では分解され、生殖細胞系列に特異的に残るという結果が得られた。しかしながら、後期胚になると生殖細胞系列でも分解されるという、予期しない結果に至ることが判明した。
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Research Products
(1 results)