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2016 Fiscal Year Research-status Report

浮イネ節間伸長による洪水耐性の分子機構の解明

Research Project

Project/Area Number 16K18565
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

永井 啓祐  名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 特任助教 (30648473)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords洪水耐性 / 節間伸長 / 植物ホルモン
Outline of Annual Research Achievements

浮イネの洪水時における節間伸長性を制御する因子として、これまでに第1, 3, 12染色体に座乗するQTLが同定されている。これまでに第12染色体QTLの原因遺伝子としてSnorkel1およびSnorkel2を同定しているが、他の2つのQTL原因遺伝子については同定できていなかった。
第1染色体に座乗するQTL原因遺伝子の同定を目的としたマッピングを行った結果、ジベレリンの生合成遺伝子GA20ox2が浮イネの節間伸長に関わることが示唆された。深水状態になると、浮イネにおいてこの遺伝子の発現が顕著に上昇した。また、深水時にイネ体内ではエチレンが蓄積すること、さらに浮イネにエチレンを処理すると節間伸長が誘導されることがこれまでに明らかとなっている。そのため、エチレンによるGA20ox2の発現誘導性を調べた結果、浮イネにエチレンを処理したときにGA20ox2の発現上昇が誘導されたが、一般的な栽培イネではこの現象は観察されなかった。さらに、エチレンシグナルにおいて鍵因子と考えられている転写因子EIN3がGA20ox2の発現上昇に関与するかをトランジェントアッセイによって調べた結果、浮イネのGA20ox2プロモーターのみにEIN3が結合してGA20ox2の発現上昇を引き起こすことが示唆された。以上のことから、浮イネは深水時に体内に蓄積したエチレンをシグナル因子としてジベレリンの合成量を上昇させることにより節間伸長を誘導していることが考えられた。
また、第3染色体に座乗する節間伸長性に関わる因子の同定を目指したマッピングにおいては、候補遺伝子を1つに絞り込むことに成功している。この遺伝子は機能未知のタンパク質をコードしていると考えられたが、過剰発現体を作出したところ幼苗期での節間伸長が誘導された。このことから、この遺伝子は節間伸長の開始に関わる新規の因子であると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度に予定していた「第1染色体に座乗するQTL原因遺伝子のクローニング」および「第3染色体に座乗するQTL原因遺伝子のクローニング」に関して、一定の研究成果が得られた。また、前者においては現在、論文執筆中である。
上記以外に「複数のQTL領域を保持した系統(ピラミディング系統)の形質評価」については、平成28年度に形質評価を行い平成29年度に再現性を確認する。研究項目の「節間に存在する介在分裂組織における細胞分裂の制御機構の解明」に関しては平成28年度に得られた結果をもとに平成29年度に再現性を確認する。「冠水時における浮イネ節間の機能の解明」については、研究計画通り深水時における節間内の酸素変動をとらえることに成功した。この研究項目については現在、論文執筆中である。

Strategy for Future Research Activity

「第3染色体に座乗するQTL原因遺伝子のクローニング」に関して、同定した因子には保存されたドメインなどが存在しない機能未知のタンパク質をコードしていた。そのため、どのようにしてこの因子が節間の伸長開始を制御しているかを、発現誘導系の形質転換を用いたトランスクリプトーム解析およびTAP-tag融合タンパク質を用いた相互作用因子の探索を行うことで明らかにしていく。「複数のQTL領域を保持した系統(ピラミディング系統)の形質評価」については平成28年度に引き続き平成29年度にも行い、作出した系統の深水時の節間伸長性と収量性の相関関係を明らかにする。「節間に存在する介在分裂組織における細胞分裂の制御機構の解明」に関しては平成28年度に明らかにした分裂帯からRNA抽出を行い、これを用いたトランスクリプトーム解析をすることで、伸長節間においてなぜ分裂を維持することができるかの分子メカニズムを明らかにしていく。また、「冠水時における浮イネ節間の機能の解明」においてイネの節間内に存在する空洞(髄腔)が深水時に通気組織として機能していることを明らかにした。このことから「節間内の空洞形成メカニズムの解明」に関して、髄腔形成過程の組織化学的解析を行う。また、髄腔形成部位から抽出したRNAを用いたトランスクリプトーム解析を行い、どのような因子が髄腔形成に関与しているかを明らかにする。

  • Research Products

    (6 results)

All 2017 2016 Other

All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Copenhagen University(Denmark)

    • Country Name
      Denmark
    • Counterpart Institution
      Copenhagen University
  • [Int'l Joint Research] West Australia University(Australia)

    • Country Name
      Australia
    • Counterpart Institution
      West Australia University
  • [Journal Article] Hormone Distribution And Transcriptome Profiles In Bamboo Shoots Provide Insights On Bamboo Stem Emergence And Growth2017

    • Author(s)
      Rico Gamuyao, Keisuke Nagai, Madoka Ayano, Yoshinao Mori, Anzu Minami, Mikiko Kojima, Takamasa Suzuki, Hitoshi Sakakibara, Tetsuya Higashiyama, Motoyuki Ashikari, Stefan Reuscher
    • Journal Title

      PLANT & CELL PHYSIOLOGY

      Volume: 58 Pages: 702-716

    • DOI

      doi:10.1093/pcp/pcx023

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] イネ節間伸長制御機構の組織化学的解析2016

    • Author(s)
      大里美咲、永井啓祐、芦苅基行
    • Organizer
      日本育種学会
    • Place of Presentation
      鳥取大学
    • Year and Date
      2016-09-25
  • [Presentation] Anatomic analysis of aerenchyma in grasses2016

    • Author(s)
      Keisuke Nagai, Yoshinao Mori, Tim Colmer, Ole Pedersen and Motoyuki Ashikari
    • Organizer
      International society for plant anaerobiosis
    • Place of Presentation
      Copenhagen, Denmark
    • Year and Date
      2016-09-05 – 2016-09-09
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] イネ科植物における節間通気組織の形態学的解析2016

    • Author(s)
      永井啓祐、大里美咲、芦苅基行
    • Organizer
      イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ
    • Place of Presentation
      名古屋大学
    • Year and Date
      2016-07-04 – 2016-07-05

URL: 

Published: 2018-03-07  

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