2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18588
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小田原 真樹 立教大学, 理学部, 助教 (40460034)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 葉緑体 / ゲノム安定性 / 組換え / 散在性反復配列 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
葉緑体における相同配列の長さと組換えの関係を解析するため、葉緑体DNAにさまざまな長さの人工的な相同配列の導入を試みた。短い相同配列(<500 bp)の導入においては、複数のコンストラクトに関して相同配列が導入された葉緑体形質転換体を取得した。長い相同配列(1 kb<)の導入においては、スペクチノマイシン濃度を高く保ち続けても、導入された相同配列間に配置したスペクチノマイシン耐性マーカーの脱落を防止できず、葉緑体においては長い相同配列間の組換えが非常に高頻度に起きていることが明らかになった。 一方で、新たな手法として次世代シークエンシングを用いたディープシークエンシングにより葉緑体におけるRecA非依存型組換えの網羅的な解析を行った。野生株と葉緑体型RECA変異体の葉緑体ゲノムを解析した結果、葉緑体型RECA変異体で増加している相同配列間組換え体の網羅的同定に成功し、葉緑体におけるRecA非依存型組換えの頻度は相同配列の長さと必ずしも比例していないことが明らかになった。 葉緑体における組換えを制御する因子の新たな候補としてバクテリアRecAと相互作用し組換えを制御するRecXの植物ホモログ(RECX)を同定し、解析を行った。このRECXは葉緑体とミトコンドリアに移行し、ミトコンドリア型RECA、葉緑体型RECAそれぞれと物理的相互作用をする。遺伝学的解析の結果、RECXはミトコンドリア型RECAを制御することによりミトコンドリアゲノム安定性を維持することが明らかになったが、葉緑体におけるRECXの役割は見出せていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
葉緑体における相同配列の長さと組換えの関係を解析するため葉緑体DNAへの人工的相同配列の導入を試みたが、導入された長い相同配列間の組換えが非常に高頻度に起きて、相同配列の一方が抜け出してしまうことが判明した。相同配列の間にはスペクチノマイシン耐性マーカーを配置しているが、高濃度のスペクチノマイシン存在下にも関わらず、このような組換えは起きてしまう。このような現象をより多くの株で確認することに時間を要した。また、ヒメツリガネゴケは葉緑体の形質転換効率が低く、多くのコンストラクトそれぞれについての形質転換体のスクリーニングに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
葉緑体DNAへの長い相同組換えの導入に関しては、スペクチノマイシン耐性マーカーのプロモーター部改変によりスペクチノマイシン耐性度の低下を試みる。また葉緑体DNA上の配列を重複させることによる相同配列の構築法を試みる。 オルガネラゲノムの次世代シークエンシングの結果から、葉緑体において抑制されている組換えがDNA複製と密接に関わっている可能性が示唆された。これについてより詳細な解析を行い、葉緑体型RECA非依存組換えの意義や他の因子の変異体との比較により、組換え抑制経路の推定を行う。
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Causes of Carryover |
葉緑体における人工的相同配列の導入が一部のコンストラクトにおいて難航しているため、導入後の相同配列間の組換え体の定量解析に用いる試薬等の購入を見送った。 葉緑体ゲノムへの人工的相同配列の導入が完了次第、予定していた定量用試薬等を購入する。
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Research Products
(3 results)