2016 Fiscal Year Research-status Report
メダカ属魚類におけるXY型からZW型への性決定機構の進化
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16K18590
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
竹花 佑介 基礎生物学研究所, バイオリソース研究室, 助教 (60432093)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 性決定遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、互いに近縁でありながら異なる性決定システム(XY型およびZW型)をもつメダカ属3種[ハウザンメダカ(XY型)、ハブスメダカ(ZW型)、ジャワメダカ(ZW型)]について、各種の性決定遺伝子を同定する。これら3種とその外群にあたるインドメダカ(XY型;性決定遺伝子:Sox3Y)を含めた4種で性決定機構を比較し、その進化メカニズムを解明することを目的としている。 平成28年度の実績を以下に要約する。XY型のハウザンメダカについては、性染色体がメダカ10番染色体と相同であったため、当初Sox3を性決定遺伝子候補と考えていた。しかし、詳細な連鎖解析により、メダカでは9番染色体に存在するDmrt1遺伝子が本種の性決定遺伝子座に転座(あるいは遺伝子重複)していることが判明した。そこでDmrt1の定量RT-PCRを行ったところ、性分化時期のXY個体で特異的に高発現することが明らかになった。現在は本遺伝子を性決定遺伝子の最有力候補として、CRISPR/Casシステムを用いたノックアウト個体の作出を試みている。また、ZW型のハブスメダカとジャワメダカについては、これまでの解析から得られた複数の性決定遺伝子候補について、ノックアウト個体の作出を行っている。これらについて来年度以降に詳細な表現型解析を行う予定である。また、これまでの研究から、メダカ属のオス分化に関わる共通の因子としてGsdfが同定されている。そのため、XY型のインドメダカとZW型のハブスメダカについて、Gsdf遺伝子のノックアウト解析も並行して進めている。これにより、XY型とZW 型における性決定機構の相違点と共通点を解明したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いずれのメダカ近縁種についてもノックアウト個体の作出が進んでいる。次年度以降の表現型解析によって、各候補遺伝子が性決定機能をもつかどうかを明らかにできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
各種における性決定遺伝子候補のノックアウト系統を作出し、その表現型解析を進める。また、性分化関連遺伝子の発現解析と機能解析によって、種間における性決定機構の相違点と共通点を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ノックアウト個体の表現型解析の一部を本年度内に行うことを予定していたが、この実験に関連する予算を次年度に使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初本年度に実施する予定であった表現型解析を次年度に実施する。また、この実験に使用する消耗品等も次年度に購入する。
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