2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the geographical distribution of ectomycorrhizal fungal genus Strobilomyces: special emphasis on effects of host plants
Project/Area Number |
16K18603
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 博俊 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (10635494)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 菌類 / 共生 / 生物地理 / 多様性 / 菌根 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は、外生菌根菌と呼ばれるブナ科・カバノキ科・フタバガキ科・フトモモ科・マツ科などの樹種と相利共生する菌群を対象として、分類学・生物地理学的な研究を行っている。本研究では、外生菌根菌の中でも、オニイグチ属に属する種群を対象として、その地理的分布がどのように共生する樹種によって制約されているかについて調べることを目的として研究を行った。研究の結果から、オニイグチ属菌には、ドングリを作る樹種であるブナ科樹種の分布に沿って分布する種が最も多いことが分かってきた。また、熱帯の外生菌根性の樹種であるフタバガキ科フタバガキ亜科樹種の分布に沿って分布する菌種や、オセアニア地域に分布するナンキョクブナ科やフトモモ科ユーカリ属の樹種の分布に沿って分布する菌種も多数見つかってきた。また、種数こそ少ないものの、アフリカ地域に分布するフタバガキ科モノトーテス亜科の樹種の分布に沿って分布する菌も存在することも示された。本研究の結果から、オニイグチ属菌をはじめとした外生菌根菌は、本来、胞子分散を介した高い分散能力をもっているものの、より分散能力の低い共生樹種の分布に制約される形で限られた範囲に分布することが分かってきた。本研究の結果は、研究計画の立案時に立てた仮説に合致する結果である。しかしながら、本研究の成果はオニイグチ属という限られた分類群のみの結果なので、今後の研究においては、より対象群を広げ、オニイグチ属菌で見られた傾向が一般的なのかどうかについて検証を進めることが重要である。
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