2016 Fiscal Year Research-status Report
動物搭載型高度情報機器を活用した潜水動物の採餌戦略の解明
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16K18617
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 誉士 名古屋大学, 環境学研究科, 学振特別研究員(PD) (70637933)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 潜水・飛翔 / 採餌戦略 / データロガー / エネルギー収支 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、飛翔・潜水するキバナウと、潜水に特化したマゼランペンギンの採餌行動を比較することにより、飛翔と潜水の間のトレードオフ(潜水行動の進化)の理解を試みる。2016年11月21日~12月20日にかけて、アルゼンチンのPunta LeonにあるキバナウとCabo Dos Bahiasにあるマゼランペンギンの繁殖地にて、Laboratorio de Ecologia de Predadores Tope Marinos (LEPTOMAR), Instituto de Biologia de Organismos Marinos (IBIOMAR)-CONICETの研究者と共に野外調査を実施した。繁殖地において、育雛中の親鳥を素手もしくはフックを首に引っ掛けて捕獲し、水平位置(GPS)や潜水深度、加速度、映像などを記録する各種データロガーを装着し、数日後に繁殖地で再捕獲してデータロガーを回収、それぞれの種の採餌行動および餌種に関する情報を取得した。これらのデータを用い、加速度データから移動と採餌における消費エネルギーを、ビデオデータから獲得エネルギーを算出し、採餌トリップ中のエネルギー収支のバランスを明らかにする。さらに、位置情報と併せることにより、採餌範囲や採餌方法など、移動・採餌特性の異なる2種における採餌戦略の違いを考察する。当該年度は野外調査を年度末に実施したため、未だデータ解析中であるが、得られた結果は随時学会や投稿論文として発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査により、研究対象種であるキバナウとマゼランペンギンから採餌行動データを取得することに成功した。当該年度は調査初年度であり、まずは予備実験的にデータの取得を試みた。その結果、データロガーの回収率も100%に近く、次年度の調査ではより多くの行動データを取得する予定である。また、当該年度は現地責任者であるQuintana博士および現地調査チームと研究内容およびデータ解析のすみわけについても話し合うことができ、良好な関係が築けた。このことにより、今後の研究およびデータ解析をより円滑に進めることができると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、昨年末に取得したデータの解析を進めている。キバナウとマゼランペンギンという移動・採餌特性の異なる2種について同様の解析をおこなう。具体的には、移動・採餌中の加速度データから採餌トリップ中のエネルギー消費を算出する。また、ビデオデータと頭に装着した加速度記録計のデータを併せて解析することにより、各採餌トリップ中の餌獲得イベントを抽出する。そして、GPSによる位置データを併せることにより、移動・採餌特性の異なる2種で、どのようにエネルギー収支のバランスが保たれているのかを明らかにする予定である。解析結果は随時学会や投稿論文として発表していく。また、解析の結果を踏まえ、次年度の調査では不足しているデータを取得する予定である。
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