2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K18618
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山道 真人 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (70734804)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 絶滅 / 適応 / 進化的救助 / 表現型可塑性 / 形質置換 / 種間相互作用 / 繁殖干渉 / 捕食 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年になって、短い時間スケールで集団中の遺伝子頻度が変化する「迅速な進化」が広く見られることがわかってきた。そのため、環境が変動した後に迅速な進化が個体数の減少よりも速く起こり、進化が絶滅を防ぐ「進化的救助」という現象が注目を集めている。これまでの進化的救助研究は、単一種の集団が外的な環境変動に適応する過程に焦点を当ててきた。しかし、実際の生態系では多数の種が相互に影響を与えながら存在している。そこで本研究では、捕食や繁殖干渉といった「種間相互作用」 が進化的救助にどのように影響するか、という問いに注目する。数理モデルと培養実験をもちいたアプローチから、環境変動・適応進化・種間相互作用が複雑に絡み合った動態の理解を深めることを目的とする。 2016年度は、防御と増殖の間にトレードオフがある場合に、被食者の適応によって捕食者の絶滅が妨げられる「間接進化的救助」に集中して研究を行った。動物プランクトン(ワムシ)と植物プランクトン(クラミドモナス)の培養実験系から得られたパラメータ値をもちいて、間接進化的救助の数理モデルを解析し、救助が起こるための具体的な条件を調べた。遺伝子型の頻度が変化する迅速な進化と、単一の遺伝子型が環境に応じて表現型を変化させる表現型可塑性のそれぞれの数理モデルについて、間接進化的救助の動態を調べた。また、培養実験の実施に向けて綿密な実験計画を議論し、クラミドモナスの遺伝子型ごとの防御と増殖のトレードオフを整理するなどして、準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表現型可塑性を介した間接進化的救助の数理モデル解析がやや遅れているが、プランクトンをもちいた培養実験については、数理モデルから救助が起こるための条件を調べ、ドイツのマックス・プランク研究所を訪問して打ち合わせを重ねるなどして、実施する準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、間接進化的救助の培養実験による検証を進めていく。また、表現型可塑性を介した間接進化的救助や、形質置換による進化的救助についての数理モデルの解析を行う。さらに、先行研究における種間相互作用が進化的救助にもたらす影響をまとめ、一般的な傾向を探る。
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Causes of Carryover |
論文の発表が年度内に間に合わなかったため、次年度に使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文を国際誌に発表し、論文掲載料として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)