2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18618
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山道 真人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (70734804)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 絶滅 / 適応 / 進化的救助 / ヒドラ効果 / 種間相互作用 / 捕食 / 環境変動 / 個体群動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年になって、短い時間スケールで集団中の対立遺伝子頻度が適応的に変化する「迅速な進化」が一般的であることがわかってきた。そのため、環境変動によって個体数が減少する際に、迅速な進化による適応が絶滅を防ぐ「進化的救助」という現象が注目を集めている。これまでの進化的救助研究では、単一種の集団が外的な環境変動に適応する過程に焦点を当てられることが多かった。しかし、実際の生態系では多数の種が相互に影響を与えながら存在している。そこで本研究では、捕食や繁殖干渉といった「種間相互作用」 が進化的救助にどのように影響するか、という問いに注目し、数理モデルと培養実験をもちいたアプローチから、環境変動・適応進化・種間相互作用が複雑に絡み合った動態の理解を深めることを目的とする。 2017年度は、防御と増殖の間にトレードオフがある場合に、被食者の適応によって捕食者の絶滅が妨げられる「間接進化的救助」の理論研究を発展させた。間接進化的救助では、捕食者の死亡率が増加することで、捕食者の密度が一時的に減少し、被食者が防御を減らし増殖に特化する方向に適応する。このような進化は、間接進化救助以外にも、捕食者の死亡率の増加が捕食者の個体数を増加させるという「ヒドラ効果」をもたらすことが知られていた。そこで、被食者の適応が間接進化救助とヒドラ効果をもたらす条件を解析的な手法によって調べ、一般的な条件を明らかにするとともに、先行研究で提案された数理モデルのシミュレーションにおいて、これらの現象がどれほど起こりやすいのかについて調べた。また、プランクトンの培養実験の実施に向けて実験計画を議論し、準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間接進化救助とヒドラ効果について調べた論文については順調に進捗しており、2018年度中にも学術論文として成果の発表が期待される。プランクトンをもちいた培養実験については、間接進化救助とヒドラ効果の起こりやすさを数理モデルから調べるとともに、ドイツを訪問して打ち合わせを重ねるなどして、実施する準備を進めつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
プランクトンの連続培養系のパラメータを与えた数理モデルによって間接進化救助・ヒドラ効果の起こりやすさを調べ、培養実験と並行して進めていく。また、表現型可塑性を介した間接進化的救助や、形質置換による進化的救助についての数理モデルの解析を行う。さらに、先行研究における種間相互作用が進化的救助にもたらす影響をまとめ、一般的な傾向を探る。
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Causes of Carryover |
論文を国際誌に発表し、論文掲載料として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Core microbiomes for sustainable agroecosystems2018
Author(s)
Hirokazu Toju, Kabir G. Peay, Masato Yamamichi, Kazuhiko Narisawa, Kei Hiruma, Ken Naito, Shinji Fukuda, Masayuki Ushio, Shinji Nakaoka, Yusuke Onoda, Kentaro Yoshida, Klaus Schlaeppi, Yang Bai, Ryo Sugiura, Yasunori Ichihashi, Kiwamu Minamisawa, E. Toby Kiers
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Journal Title
Nature Plants
Volume: 4
Pages: 247-257
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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