2016 Fiscal Year Research-status Report
分げつ角度の適応的変化を利用したイネの草型改良に関する研究
Project/Area Number |
16K18645
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岡村 昌樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター 稲研究領域, 任期付研究員 (00757908)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水稲 / 分げつ角度 / 開帳性 / 群落受光態勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
分げつ角度を制御する遺伝子の一つであるTAC1の準同質遺伝子系統(TAC1-NIL)の作出を進めた。コシヒカリおよびIR64背景のTAC1-NILについて順調に作成が進んでいる。 またTAC1以外の要因により分げつ角度が異なる系統の作出に向けて、複数系統の分げつ角度の調査を行い、デンプン合成系の変異体の中から安定的に分げつ角度が開帳する系統を新たに見つけた。しかし当該系統の生育を水田圃場において簡易的に調査したところ、子実の登熟にも影響があり、生産性の検証には不向きであることが明らかになった。現時点ではほかに有望な系統が見つかっていないため、次年度以降は異なる観点から分げつ角度の異なる水稲素材を探索していく予定である。 一方、平成29年度から開始予定の水田圃場での試験に備えて、水稲群落の評価指標の検討を行った。具体的には、デジタルカメラ撮影による群落被覆率の評価や簡易NDVI測定装置による群落評価の検討を行うとともに、光量子計やCO2計といった群落の評価に必要な実験機器の整備を行った。デジタルカメラによる被覆率の測定(Guo et al., 2017)は、生育初期に非常に有効である一方で、NDVIの測定では、生育初期よりもむしろ植物体の老化が始める後期において、群落全体の老化程度の評価に有効であることが明らかになった。今後はこれらの評価方法と、所属研究機関で新たに購入した非破壊型葉面積計を用いて、水稲群落の評価方法の確立をし、分げつ角度の違いが群落全体に及ぼす影響を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな系統については現時点で有望な系統は見つかっていないものの、TAC1の準同質遺伝子系統の作出および群落の評価方法の確立に関しては順調に進んでいいる。
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Strategy for Future Research Activity |
作出を進めているTAC1の準同質遺伝子系統の種子の増殖を図り、大規模な圃場試験に備えるとともに、すでに種子量の確保ができている作成途中の系統を用いて群落の評価を始める。これにより、分げつ角度の違いが稲群落に及ぼす影響を圃場レベルで評価する。一方で、新たな分げつ角度解析用系統の探索を所属研究機関が所有する様々な水稲素材を用いて進める。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた光量子計より安価で必要な機能を満たす光量子計が新たに発売され、それを購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度発見まで至らなかったTAC1-NIL以外の解析系統の探索にさらに注力するため、植物育成用品の追加購入分の充てる。
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