2016 Fiscal Year Research-status Report
出芽時期を決める分子基盤:休眠サイクル調節遺伝子の決定
Project/Area Number |
16K18646
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
今泉 智通 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター 生産体系研究領域, 主任研究員 (10509235)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 種子休眠 / 休眠サイクル / 種子発芽 |
Outline of Annual Research Achievements |
野外における休眠サイクル調節に関与する遺伝子特定を目的として、今年度は休眠サイクル調節が示唆される候補遺伝子の全長鎖塩基配列決定を試みた。この候補遺伝子は、コナギ埋土種子を対象にした研究により休眠サイクル調節への関与が示唆されるものである。 コナギ埋土種子から抽出したRNAを材料として、次世代シーケンサー(HiSeq4000)を用いてコナギ埋土種子における転写産物の配列情報を取得し、得られた配列情報をもとに転写産物のコンティグ配列を構築した。構築したコンティグ配列の中から候補遺伝子に該当するものを抽出したところ、各候補遺伝子には複数のコンティグ配列が該当し、その中には2000bp前後の配列長を持つものもあり、各候補遺伝子に関して長鎖のコンティグ配列を構築することができた。シロイヌナズナのゲノム情報との相同性検索から各コンティグ配列の機能を推定したところ、Protein phosphatase family, HOMOLOGY-DEPENDENT GENE SILENCING 1、Cytochrome C biogenesis protein familyなどシロイヌナズナにおける種子休眠・発芽の制御が明らかにされている遺伝子と非常に高い相同性を示すことが明らかとなった。 今後は各コンティグ配列の全長鎖塩基配列をサンガーシーケンス等により決定するとともに、リアルタイムPCRにより各候補遺伝子の発現量の季節変動の塩基配列を確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、野外における休眠サイクル調節の候補遺伝子の全長鎖塩基配列を決定するため、次世代シーケンサーを用いてコナギ埋土種子における転写産物の配列情報を取得した。得られた配列情報をもとに転写産物のコンティグ配列を構築し、種子休眠調節への関与が明らかになっている遺伝子と相同性の高いコンティグを決定した。このコンティグの配列長は2000bp前後と長いコンティグ配列の構築ができたが、全長鎖塩基配列を得るまでには至っていない。次年度にRACE PCR等を用いたサンガーシーケンスを実施し、候補遺伝子の全長鎖塩基配列を決定する。
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Strategy for Future Research Activity |
機能面から休眠サイクル調節への関与が示唆されたコンティグ配列の全長鎖塩基配列を決定する。リアルタイムPCRによりこれらのコンティグ配列の発現解析を実施し、候補遺伝子の発現量の季節変動を確認する。これにより、候補遺伝子の優先順位を季節変動の面で決定する(遺伝子発現の季節変動が休眠サイクルと高い相関を示すかどうか)。サンプルは、平成28年度と同様にコナギ埋土種子由来のRNAを供試する。
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Causes of Carryover |
計画通り次世代シーケンサー(HiSeq4000)を用いた解析を実施したが、受託解析費用が当初予定より安価であり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額381,136円は、RACE PCR等により候補遺伝子の全長鎖塩基配列を決定するための解析費用等、次年度に申請する金額と併せて、研究計画遂行のために使用する。
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