2017 Fiscal Year Research-status Report
出芽時期を決める分子基盤:休眠サイクル調節遺伝子の決定
Project/Area Number |
16K18646
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
今泉 智通 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター生産体系研究領域, 主任研究員 (10509235)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 種子休眠 / 休眠サイクル / フェノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
野外における休眠サイクル調節に関与する遺伝子特定を目的として、今年度は休眠サイクル調節が示唆される候補遺伝子の季節変動を調査した。シロイヌナズナにおける種子休眠・発芽の制御が明らかにされている遺伝子と高い相同性を示すことが昨年度明らかとなった候補遺伝子のうち、アブシジン酸の感受性低下に関与するCyt c遺伝子が休眠覚醒とともに発現量が増加し、休眠誘導につれて発現量が低下することが示された。加えて、SAHH1やLEA14、HSP18などシロイヌナズナで種子休眠・発芽の制御が明らかになっている遺伝子がコナギの休眠サイクル調節に関与する可能性が示唆された。すなわち、シロイヌナズナの発芽遺伝子で発現量が増加するSAHH1が休眠覚醒状態のコナギ種子においても発現量が増加する傾向が確認された。また、アブシジン酸の感受性上昇に関与するLEA14およびHSP18遺伝子が、休眠覚醒状態のコナギ種子において発現量が減少し、休眠誘導状態のコナギ種子において発現量が増加する傾向が認められた。引き続きリアルタイムPCR等により各候補遺伝子の発現量の季節変動の詳細を明らかにし、休眠サイクル調節に関与する遺伝子を特定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度推定された休眠サイクル調節の候補遺伝子を対象に、野外における遺伝子発現の季節変動を決定し、遺伝子発現と休眠サイクルが高い相関を示す遺伝子を明らかにした。加えて、機能面で種子休眠・発芽制御への関与が示唆される候補遺伝子を複数明らかにし、それら候補遺伝子が休眠サイクル調節に関与する可能性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度新たに推定された候補遺伝子の発現解析を継続し、休眠サイクル調節に関与する遺伝子を決定する。
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Causes of Carryover |
(理由) 計画通り解析を実施したが、受託解析費用が当初予定より安価であり、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度使用額115,646円は、リアルタイムPCR等により候補遺伝子の発現量の季節変動を決定するための解析費用等、次年度に申請する金額と併せて、研究計画遂行のために使用する。
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