2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18648
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
王 寧 筑波大学, 生命環境系, 助教 (90730193)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脇芽 / トマト |
Outline of Annual Research Achievements |
EMS処理により得られた矮性品種マイクロトム変異集団からドミナントネガティブの性質を示す脇芽抑制型の変異体abs1を選抜した。脇芽抑制の原因遺伝子を同定するため、WTとabs1を交配したF1個体、さらにF2、F3世代を用いた。親系統、F1、F2 個体が3回栽培し、F2系統別F3個体は2回栽培した。開花後0日、15日、30日の各個体の全ての脇芽の長さを測定した。脇芽は開花時から開花後15日にかけて顕著に生長したが、開花後15日から30日までは生長が鈍化した。F2集団95個体の1番目の脇芽の長さは連続分布を示した。供試個体の脇芽長が異なる栽培条件下で変動したため、本形質は環境の影響を受けやすいことが示唆された。 次世代シーケンサーを用いてWT及びabs1の全ゲノムシーケンスを行い、29,814箇所のSNPsが検出されだが、そのうち約9割に相当する24,463箇所が12番染色体に集中していた。変異が特に集中する12番染色体に対して21箇所のSNP及びINDELを選び、DNAマーカー化した。遺伝子型を元に連鎖地図を作成し、表現型データと連鎖地図情報を元に、Composite Interval Mapping法でQTL解析を行った。結果、12番染色体の短腕の約9.0cMの位置に寄与率R2=0.08のQTLが検出された。続いて、1から11番染色体のSNPs密度が低く、連鎖地図作成ができないため、短腕と長腕に存在するSNPs各一ヶ所を選んでDNAマーカー化した。F2集団95個体を材料に用いてPCRによりDNAを増幅し、DNAマーカーに応じて制限酵素で処理して各個体の遺伝子型を判別してきた。現在、1から3番染色体は解析中、4から11番染色体に対して遺伝型と表現型の分散分析を行った結果、第5番と6番染色体の長腕にあるマーカーが表現型と有意に(P<0.01水準)相関することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予期していないこと 供試個体の脇芽長が異なる栽培条件下で変動したため、本形質は環境の影響を受けやすいことが示唆された。栽培用ポットの大きさ、日照条件、温度条件に大きく左右されることが分かった。WT(脇芽が大きい)脇芽サイズのばらつきが大きいのに対して、abs1変異体(脇芽が小さい)のばらつきはやや小さいことが分かった。WT個体の脇芽が大きく成長できるが、栽培環境によってその能力が発揮できないと考えられる。 WTの脇芽に比べ、abs1とF1の脇芽の長さは有意に短いことが観察されたが、F2集団95個体の1番目の脇芽の長さは連続分布となった。また、一般的に全ゲノム当たりにEMS処理によって誘発されるSNPsの数は平均3000から4000個と言われているが、本研究ではNGS解析によりWTとabs1変異体の間には29,814箇所のSNPsが検出され、そのうち約9割に相当する24,463箇所が12番染色体に集中していた。この数のSNPsは単純にEMS処理によるものと説明できなく、実際にF2集団表現型は連続分布に示すなど、複数の遺伝子によって支配される量的形質の可能性が大きいと考えられた。F2分離集団の表現型調査数回実施し、さらに脇芽サイズの値が両極端に示したF2系統由来F3個体(系統別毎に10個体)を2回栽培・評価したが、固体間分散が大きく、非遺伝的要因に影響される結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
栽培条件によるばらつきを抑えるため、全て夏に24℃恒温制御できる温室で自然光の下で行い、光条件を均一にするため定期的に配置換えを行った。また4×4の育成ポットに間引きして8個体を均一に配置し、週に一回の頻度で液体肥料を与える。今後、根系の発達程度が地上部に影響を及ぼすと考えられるため、前記栽培条件に加えてより大きいサイズのポットを使用するなどを検討し、できる限り環境の影響を最小にする。 また、頂芽を切り取るとすぐ下方の側芽が新しい頂芽となり成長し始めることが知られている。頂芽優勢のメカニズムを利用し、abs1変異体が摘心後に脇芽成長が促進されるか調査する。野生型とabs1変異体が摘心処理によって流れてくる植物ホルモンに異なる感受性を示せば、F2分離集団を調査する際にすべての個体を摘心し、より明確な表現型調査が期待できる。遺伝型と表現型相関が有意に見られた第5番と6番染色体長腕の既存マーカーの近傍に新たなDNAマーカーを開発する。連鎖解析およびQTL解析を行い、各遺伝子座の寄与率を評価し、ファインマッピングする遺伝子座を絞り込む。
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Research Products
(2 results)