2016 Fiscal Year Research-status Report
カンキツ果実における植物ホルモンと二次代謝産物の代謝コミュニケーションの解明
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16K18649
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
馬 剛 静岡大学, 農学部, 特任助教 (20767412)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カロテノイド / カンキツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、培養した砂じょう(果肉部分)を用いて、光照射、低温および水分ストレスなどの要因により、植物ホルモン、二次代謝産物およびそれらに関連する遺伝子発現が、どのように応答し調節されているのかを明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、青色LEDを用いてカンキツ培養砂じょうに光照射することにより、カロテノイド代謝周辺のジベレリン代謝、クロロフィル代謝(GGPP経由する経路、経由しない経路)、非メバロン酸代謝の4種類の代謝に関わる遺伝子発現への影響を明らかにするため、マイクロアレイを用いた網羅的発現解析を行った。青色LEDを用いた光照射区では、前駆物質からGGPPおよびGGPPからカロテノイドの生合成経路の遺伝子発現が増大した。これらの遺伝子発現の増大は、培養砂じょうにおいてカロテノイド含量が上昇する結果と良く一致していた。また、青色光照射区においてクロロフィルを生合成する2つの経路に関わる遺伝子の発現量がいずれも増大したことから、青色光照射区で砂じょうが緑色を帯びるのはクロロフィル含量の上昇によることが強く示唆された。 以上の結果から、青色光を照射することにより、カロテノイド生合成に関わる遺伝子の発現量が増大するだけでなく、GGPPおよびクロロフィルの生合成に関わる遺伝子の発現量が増大することから、カロテノイドおよびクロロフィルの代謝経路は、拮抗関係ではなく、どちらも含量の増大が促進されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、青色LEDを用いてカンキツ培養砂じょうに光照射し、カロテノイド周辺の代謝に関わる遺伝子発現への影響を、マイクロアレイを用いた網羅的発現解析を行うことにより調査した。カロテノイド代謝とクロロフィル代謝は拮抗関係ではなく、どちらも遺伝子発現および含量の増大が促進されることが示唆された。これらの結果から、青色光はカロテノイドおよびカロテノイド周辺の代謝に対しても影響を与えていることが明らかとなっており、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、培養した砂じょう(果肉部分)を用いて、植物ホルモンを処理することにより、カロテノイド代謝およびカロテノイド周辺の代謝に関わる遺伝子発現への影響を明らかにするため、マイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行う。植物ホルモンとしてカロテノイド周辺のジベレリン、アブシジン酸などを培地に添加し、それらの遺伝子発現への影響を調査する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に、本研究課題に必要な分析を行うための機器の購入に一部を充てる必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題に必要な分析で使用する機器の購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)