2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of organelle-selective autophagy in heavy-metal treated plant cells.
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16K18668
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
齋藤 彰宏 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (10610355)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 葉緑体 / オートファジー / ニッケル / カドミウム / ミトコンドリア選択的オートファジー / 葉緑体選択的オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
タバコBY-2細胞では、ニッケル(Ni)処理後、24時間以内に細胞内にNiを高集積する酸性小胞様区画(NIV)が形成される。これまでの研究によりNIVは、Niストレスで損傷したミトコンドリアを液胞へ隔離する「選択的オートファジー」であることが分かった。これは、高等植物では初のミトコンドリア選択的オートファジー経路の発見と考えている。しかし、このオートファジー機能がタバコ細胞のNi耐性に重要であるかどうかという疑問についてはまだ証明できていなかった。そこでオートファジー関連遺伝子の発現を抑制したRNAi株としてΔATG7、ΔJoka2、ΔATG11の3株を作出し、発現が低下した複数系統でNi耐性を解析した。前年度までに同様の試みを行っていたものの、長期安定した生育を示す系統やRNAi効果を持続する系統の確立が困難であった。本年度、最終的に安定したΔATG7系統でNi耐性が有意に低下することが明らかになり、オートファジーが植物のNi耐性、とりわけ液胞へのNi隔離機能において重要であることが分かりつつある。一方、我々は光合成機能を有するシロイヌナズナ細胞でカドミウム(Cd)処理後に直ちにオートファジーが誘導され、その標的がミトコンドリアではなく葉緑体であるという新規の応答も発見していた。この葉緑体に選択的なオートファジーを観察するためストロマをYFPで標識した培養細胞を観察したところ、葉緑体Cd集積部位を小胞として縊りとって液胞に隔離するストロマ小胞経路と、葉緑体全体をそのまま液胞へ隔離するクロロファジー経路の2つが同時に進行していることが分かった。以上のように、本研究を通して重金属により損傷したオルガネラを迅速かつ選択的に細胞が識別し、液胞へ隔離するという新規のオートファジー応答を発見し、その生理的な重要性についても解明を進めることができた。
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Remarks |
前年度までに学会報告した内容も含めて、現在、本研究に関する2報の論文の執筆、投稿準備中である。また、これらの論文に続く発表も予定している。これらは随時ホームページ上に公開する予定である。
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