2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K18684
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
栗田 大輔 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (60552651)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ArfA+RF2によるリボソームレスキュー機構の分子メカニズムを明らかにするために、ArfA/RF2/リボソーム複合体に対して、カイネティクス解析および構造解析を行うものである。平成28年度は構造解析を中心に進めた。複合体解析は部位特異的ラジカルプロービングおよびクライオ電子顕微鏡解析を行った。まず、構造解析のためにタグフリーのArfAおよびRF2のコンストラクトを作成した。NEB社のIMPACT Kitを用いてクローニング・精製を行った。このタグフリーのArfAおよびRF2について、ペプチジルtRNA加水分解の活性を確認した上で構造解析に用いた。
電顕解析は中国の清華大学のグループと共同研究を行い、3.0オングストロームの分解能で構造を決定することに成功し、研究成果がNature誌に掲載された。一方、部位特異的ラジカルプロービングについては、RF2のシステイン置換変異体を多数作製し、既に30種類以上の変異体のタンパク精製を終えている。今後、これらの変異体を用いてプロービング実験を行っていく予定である。
作製したRF2変異体を用いて、定性的なin vitroでペプチジルtRNA加水分解活性を測定したところ、活性の低下が見られる変異体を複数得られた。また、ArfAのシステイン置換変異体に対しても同様にin vitroで活性を確認したところ、活性の低下が見られた変異体を得た。これらの結果の一部は電顕解析の結果と共に論文として既に報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成28年度は電顕解析のためのサンプル調整と複合体形成の条件検討のみを行う予定であったが、想定以上に研究が進行し、高分解能で構造を決定することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、構造解析・カイネティクス解析を行っていく。構造解析は当初から予定していたラジカルプロービングの実験を進めるとともに、ArfA/RF2/リボソーム複合体の中間体の解析も視野に入れて研究を展開していく。また、カイネティクス解析についても、クエンチフロー法の実験系の早期の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
メチオニン特異的tRNAを購入するために残していたが、年度内の納入ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新年度にtRNAを購入できる目処がついたため、間もなく購入する予定である。
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