2016 Fiscal Year Research-status Report
特異的農薬開発を指向した新規なL-アミノ酸脱水素酵素の機能解析
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16K18689
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
米田 一成 東海大学, 農学部, 准教授 (00469397)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | L-スレオニン脱水素酵素 / NAD(P) / 植物疫病菌 / 選択性農薬 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物疫病菌はトマトおよびジャガイモに感染し葉に暗褐色の病斑を作るだけでなく、果実を腐敗させる感染症であり、近年発生が増加している植物病害の1つである。また、疫病菌は防除が難しく、作柄に大きく影響する病害として恐れられている。現在使用できる農薬は限られており、人体への影響や環境汚染の問題からも、疫病菌に特異性の高い選択性農薬の開発が急務となっている。本研究では植物疫病菌のL-スレオニン代謝に重要な役割をするL-スレオニン脱水素酵素(ThrDH)に着目している。植物疫病菌から見出された新規なタイプのL-スレオニン脱水素酵素を特異的に阻害する新しい農薬開発の基礎を築くことを目的としている。 植物疫病菌であるPhytophthora infestansのゲノム情報からThrDH遺伝子ホモログ(PITG_05140)を見い出すと共に、タンパク質発現用ベクターであるpCold TF, pCold ProS2, pCold I, pET32a, pET11a, pET15bベクターに挿入し、大腸菌を用いてIPTGによる遺伝子の発現を行った。その結果、pCold TF, pCold ProS2, pET32aなどの融合タンパク質との共発現タイプのベクターでThrDHの発現が確認できた。特にpET32aベクターを用いた場合にThrDHの大量発現・精製が可能である事を明らかにした。また、活性染色法による酵素活性の確認を行った結果、NAD依存的にL-スレオニンの脱水素反応を検出することに成功した。今後、本酵素の酵素化学的性質の解析および、立体構造解析を目的とした結晶化、X線回折実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年4月の熊本地震の影響で研究室が10月まで使用不能になると共に、冷蔵・冷凍の試薬類は全て使用不能となった。そのため、研究実施計画通りには進んでいないが、植物疫病菌由来ThrDH遺伝子のクローニングおよび作成したThrDH遺伝子の大腸菌を用いた発現と酵素の精製を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、植物疫病菌由来ThrDHの酵素化学的諸性質を明らかにする予定である。また、ThrDHのX線結晶構造解析による基質複合体構造の解明を行う予定である。その後、得られたThrDHの立体構造を基にした阻害剤の探索、および酵素阻害実験を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度は熊本地震のため、実験できる期間が大幅に制限されたため繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究費は酵素精製用器具類、タンパク質精製用試薬類、酵素活性測定用試薬類、酵素結晶化試薬類および、成果発表のための旅費に使用する予定である。特に酵素結晶化試薬類、酵素活性測定用に使用する試薬類は高価であるため、平成28年度の繰越助成金を合わせて使用する予定である。
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Research Products
(8 results)