2018 Fiscal Year Research-status Report
昆虫で起きるEnvironmental RNAiの分子メカニズムの解明
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16K18690
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
宮田 恵多 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (90736290)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸管切片 / dsRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
一部の昆虫は二本鎖RNA(double stranded RNA:dsRNA)を経口的に摂取するとdsRNAと相補的な配列の遺伝子の発現が特異的に抑制さること(Environmental-RNA干渉:e-RNA干渉)が知られているが、その詳細なメカニズムは明らかとはなっていない。2017年度までに、オオタバコガ幼虫はdsRNA添加された人工飼料を経口的に摂取すると腸管でRNA干渉が起こることを明らかとし、さらに、RNA干渉は全身で起こることを明らかとした。2018年度は、オオタバコガ幼虫がdsRNAを経口的に摂取した後に腸管から吸収されているかを調べることを目的として実験を行った。3令幼虫を解剖後、腸管を取り出し、パラホルムアルデヒドで一晩固定した。その腸管組織をスクロース溶液で置換し、凍結組織包埋剤(OCTコンパウンド)で包埋後、凍結切片を作製した。その切片に蛍光物質であるCy3をラベルしたdsRNA(Cy3-dsRNA)溶液を当て、PBSで洗浄後、蛍光顕微鏡で観察を行い、腸管組織に結合したCy3を検出した。Cy3のみを当てたものをネガティブコントロールとした。その結果、Cy3のみを当てた腸管組織に比べ、Cy3-dsRNAを当てた腸管組織の方がCy3のシグナルが強いという結果が得られた。このことから、dsRNAは腸管組織に結合することが考えられた。したがって、オオタバコガ幼虫がdsRNAを経口的に摂取すると、腸管組織にdsRNAが結合してから吸収されることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度から所属が中部大学から川崎医療福祉大学に異動したため、研究環境の整備等で実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度においても、オオタバコガ幼虫腸管組織の凍結切片の作製し、Cy3ラベルしたdsRNAを切片に当て、dsRNAと腸管組織切片との相互作用を蛍光顕微鏡での観察を行い、再現性を得る事を目的として行う。さらに、共焦点顕微鏡を用いることができるようであれば、共焦点顕微鏡を用いてdsRNAと腸管組織の詳細な相互作用領域の解析を試みる。これらの結果とこれまでに得られた結果を総合的に解釈し、昆虫の示すe-RNA干渉のメカニズムに迫る。
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Causes of Carryover |
2018年度より所属が異動したため、研究環境の準備等に時間を費やしてしまい、予定していたdsRNAと腸管組織との相互作用の再現性を得るまで実験を行うことが出来なかったため、2019年度に研究費を繰り越すこととした。2019年度は、dsRNAと腸管組織切片との相互作用を解析する実験を行うために、dsRNAをCy3で蛍光標識、dsRNA合成関連試薬、消耗品の購入、実験で使用する蛍光顕微鏡のある中部大学への旅費に使用することを考えている。
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Research Products
(2 results)