2019 Fiscal Year Annual Research Report
Dissecting of Environmental RNAi mechanism in insect
Project/Area Number |
16K18690
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
宮田 恵多 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (90736290)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RNA干渉 / dsRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
RNA干渉は、二本鎖のRNA(dsRNA)が細胞内に侵入した際に遺伝子の発現が負に制御される現象である。この現象は種々の生物で起こることが確認されており、逆遺伝学を行う上で非常に安定した強力なツールとなっている。本研究は、種々の昆虫を用いてdsRNAの細胞内への侵入メカニズム、特に口器からdsRNAを摂取することで起こるRNA干渉(Environmental RNA:e-RNA干渉)メカニズムを明らかにすることを目的として行った。本年度はこれまで用いていたオオタバコガ幼虫に加えて、イエシロアリおよびワモンゴキブリをモデル生物に用いて行った。イエシロアリに対してはdsRNA溶液を染み込ませた濾紙を給餌し、その影響を調べた。その結果、RNA干渉が誘導されていることが確認された。一方、ワモンゴキブリに長さの異なるdsRNAを注射により導入し、その影響を調べた結果、dsRNAの長さに依存してRNA干渉効率が変動した。続いて、dsRNA溶液を直接口器から摂取させ、その影響を調べた結果、RNA干渉の誘導は確認されなかった。ワモンゴキブリ腸液とdsRNAを混合するとdsRNAは速やかに分解されてしまい、それはEDTA存在下で阻害された。したがって、dsRNAが腸管内のdsRNA分解酵素による分解のため不安定であることの関与が考えられた。dsRNAを発現している大腸菌を餌と混合し、ワモンゴキブリに給餌した結果、一部分ではあるがRNA干渉の誘導が認められた。本研究成果と、これまでに得られているオオタバコガ幼虫がdsRNAを口器から摂取することでRNA干渉が誘導されることを統合すると、全ての昆虫でe-RNA干渉が起こるとは限らないことが明らかとなった。また、昆虫でe-RNA干渉が起こるか否かは、腸管内でのdsRNAの安定性が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Book] 昆虫と自然2019
Author(s)
宮田恵多、小澤壮太、長谷川浩一
Total Pages
5
Publisher
ニューサイエンス社
ISBN
0023-3218