2016 Fiscal Year Research-status Report
プラズマローゲンの吸収代謝および神経保護作用に関する研究
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16K18697
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
山下 慎司 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90531434)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プラズマローゲン / アルツハイマー / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「プラズマローゲンの吸収代謝および神経保護作用に関する研究」は、内因性機能性脂質であるプラズマローゲンに着目し、食事として摂取した時の吸収代謝と機能性およびそのメカニズムを解明することを目的としている。本研究は平成28、29年度の2年にわたり行う。初年度である平成28年度には以下のことを行った。
・プラズマローゲン投与によるアルツハイマーモデルラットの認知行動改善作用について論文を作成し学術雑誌に投稿した(平成29年4月にアクセプト)。アルツハイマー型認知症患者では脳中プラズマローゲン量が低下することが報告されている。モデルラットへのプラズマローゲンの投与により脳中のプラズマローゲンの増加と行動障害の改善が観察された。 ・マウスにおけるプラズマローゲンの単回投与による吸収実験を行い、吸収機構と体内動態を検証した。吸収時における消化酵素の作用および体内での再合成・変換の可能性が示された。 ・肝炎モデルマウスにプラズマローゲンを投与し、プラズマローゲンに肝炎緩和作用があることを確認した。肝臓での炎症は肝臓でのプラズマローゲンの合成の低下、アルツハイマー型認知症の原因物質アミロイドβの合成促進および脳への蓄積と関係あるとされている。このことから、肝炎予防は間接的に神経を保護すると考えられる。 ・近年、内因性プラズマローゲンがコレステロール合成抑制・代謝促進および動脈硬化抑制に関わる報告が多くなされている。そこで食事性のプラズマローゲンが心血管および肝臓への脂質組成に及ぼす影響を明らかにするために、長期投与試験を計画し、そのためのプラズマローゲンの精製を行った。投与実験は次年度に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順番の前後はあるが、課題は順調に進んでいる。ただし、本研究により明らかになったこと、他研究者の報告をもとに若干の軌道修正を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマローゲンの単回投与による吸収について再現性を確認し、論文化を行うとともに、プラズマローゲンの長期投与が各臓器の脂質組成に及ぼす影響を検証する。また、前年度得られたプラズマローゲンの肝炎抑制効果の作用機序を明らかにすべく培養細胞実験を行う。
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