2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of prevention and amelioration of inflammatory bowel disease by dietary restriction
Project/Area Number |
16K18702
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 沙智 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90633032)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食事制限 / 炎症性腸疾患 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日の日本は「飽食の時代」と言われるほど食が豊かで栄養状態も良くなり、世界一の長寿国になった。その反面、カロリーの過剰摂取や食生活の乱れなどにより、生活習慣病は増加の一途を辿っている。そのため、適切に摂取カロリーをコントロールして、栄養バランスの取れた食事をすることが、健康な生活を営む上で重要である。本研究は、マウスにカロリー制限下で大腸炎を引き起こし、その病態の解析と改善のメカニズムを明らかにすることを目的とした。 通常飼料を摂取させたマウスと食事制限(40%カロリーカット)をさせたマウスにデキストラン3%硫酸ナトリウムを飲水させることにより大腸炎を誘発し、大腸炎の病態について解析を行った。その結果、食事制限をさせたマウスは通常飼料を摂取させたマウスに比べて、体重の減少が軽減しており、大腸の外観および長さにおいても、大腸炎が軽減していることが観察された。また、大腸組織におけるサイトカインやケモカインの発現を調べた結果、食事制限によりそれらの遺伝子発現が低下した。また、大腸に浸潤した免疫細胞について解析したところ、マクロファージと顆粒球の割合がカロリー制限により低下したことから、食事制限は大腸内の炎症を抑制することで大腸炎を軽減することが示唆された。 炎症性腸疾患は年々増加しているが、根本的な治療法が確立されていない。そのため、食事制限により症状を改善することができれば、薬に頼ることのない新たな予防・治療法として有効である。また、食事制限で大腸炎を改善するメカニズムについてマウスならびにヒトでも証明できれば、ヒトの健康維持に貢献すると考えられる。
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