2016 Fiscal Year Annual Research Report
食品に含まれるヒスタミンを迅速・非破壊に検出する新規測定法の開発
Project/Area Number |
16K18709
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
根井 大介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品加工流通研究領域, 主任研究員 (70466001)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒスタミン / DART / バイオジェニックアミン / 不揮発性アミン / スクリーニング / 魚肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品中のヒスタミンを簡易・迅速に検出するため、Direct Analysis in Real Time mass spectrometry(DART-MS)による測定を試みた。任意のヒスタミン濃度に調整した標準溶液を作成し、内部標準物質として1,8ジアミノオクタンを100 ppmとなるように添加した。DART-MSの分析条件は以下の通りであり、DARTイオン源としてDART-Svp(イオンセンス社製)を使用し、ヒーターの加熱温度は200℃-450℃とした。質量分析装置にはLCMS2020(島津製作所製)を使用した。DART-MSによる分析の結果、ヒスタミンおよび内部標準物質に対応するピークが確認され、ピーク強度は400℃で最も強くなった。ヒスタミン濃度とピーク面積比(ヒスタミン/内部標準物質)の間には線形的な関係が認められた。 マグロおよびブリの切り身を10gずつに切り分け、ヒスタミンを付着させた。このような魚肉について、1,8ジアミノオクタンを添加した0.1 mM-EDTA溶液を90 mL加えてホモジナイズした。その後、濾過して得た抽出液についてDART-MSで測定を行った。DARTイオン源のヒーター加熱温度は400℃とした。ヒスタミンおよび1,8ジアミノオクタンに対応したピークが観察された。魚肉抽出液に関しても、ピーク面積比(ヒスタミン/内部標準物質)はヒスタミン濃度に比例して線形的に増加した。ヒスタミン標準溶液を使用して作成した検量線を用いて魚肉中のヒスタミン濃度を推定し、高速液体クロマトグラフによる分析結果と比較したところ、DART-MSによる分析ではヒスタミンを過大に見積もる傾向が見られた。DART-MSによる分析は簡易・迅速な一次スクリーニングとして十分に活用できると考えられたが、前処理条件を見直すなどにより測定精度を向上させる必要がある。
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