2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18711
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮内 栄治 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (60634706)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 多発性硬化症 / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症は遺伝的要因が大きく関与する中枢神経系炎症疾患であるが、腸内細菌をはじめとする環境要因が症状発症・重篤度 に多大な影響を与えることが明らかになってきた。これらの知見をもとに、中枢神経系炎症制御に関与するヒト腸内細菌を同定すると ともに、活性成分の同定および作用メカニズムの解明を試みる。昨年度までに、健常人糞便を移植したマウス(exGFマウス)にアンピシリンを投与することで、多発性硬化症モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalomyelitis, EAE)の症状が悪化することを確認した。本年度、これらマウスの小腸および大腸内細菌叢の16S rRNA geneシーケンシングを行った。科レベルの解析では、EAE症状と相関を示す菌を見つけることはできなかったが、属レベルの解析により、Erysipelotrichaceae科に属する菌のバランスがEAE症状と関与することが示唆された。そこで、Erysipelotrichaceae科に属する菌をexGFマウスから複数菌株単離し、無菌マウスに定着させたところ、これらの菌のバランスがEAE症状に影響を与えることを確認することができた。以上の結果から、マウスの腸内細菌を用いた研究と同様、ヒト腸内細菌においてもErysipelotrichaceae科の菌が自己免疫疾患に関与することが示唆された。現在、これらの菌のゲノム、腸管内代謝産物の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来の予定どおり、多発性硬化症の症状に影響を与えるヒト腸内細菌候補を特定し単離培養することができた。この結果は本研究の軸であり、来年度の作用機序解析に向けて非常に重要な進捗であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度単離培養することができた候補菌株のゲノム解析を行うとともに、腸管内代謝産物の解析を進める。また、宿主免疫細胞および中枢神経系炎症反応との相関解析を行うことにより、今回単離した菌の作用機序解明を試みる。
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Causes of Carryover |
ゲノムシーケンシングやメタボローム解析などの試薬用に次年度に繰り越した。次年度はこれらの解析を行うとともに、宿主免疫系の解析に用いるFACS用抗体などに使用する。
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