2016 Fiscal Year Research-status Report
環境DNAに立脚した保残伐林の生物多様性の多角的分析
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16K18715
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
辰巳 晋一 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 日本学術振興会特別研究員 (40773437)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 森林管理 / 生物多様性 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保残伐施業による生物多様性保全の保全効果を評価することである。保残伐施業とは、伐採時にあえて樹木を伐り残すことで生物の棲家を確保し、多様性の保全を図る施業方法である。本研究では、これまで生物多様性の指標として広く用いられてきた「生物種数(α多様性)」に加えて、「β多様性」や「系統的多様性」を分析することで、多様性形成の裏にあるメカニズムも合わせて明らかにする。対象分類群は土壌微生物とする。 初年度となる今年は、主に野外調査と土壌微生物DNAの分析を行った。具体的には、2016年5月20日から9月23日にかけてフィンランドに滞在し、保残伐施業が実施されているFIRE試験地において、調査プロット(n=192)を設置した。調査プロットにおいて、土壌サンプルを採取した。プロット内の植生調査(維管束植物、蘚苔類、地衣類)を行った。プロット周辺の樹木の毎木調査を行った。各プロットに分解基質となるティーバッグを設置し、分解速度を測定した。レジンコアを設置し、土壌の無機態Nのリーチング量を測定した。東フィンランド大学にて、土壌サンプルの化学分析を行った(pH, 無機態N, 含水率)。帰国後、土壌サンプルからDNAの抽出を行った。菌類特異的プライマーを用いて、PCR増幅を行った。また、FIRE試験地で過去10年間集められてきた植生群集データを使ってβ多様性の変化を解析し、その結果を学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りのデータを取得できた。学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
PCR産物のシーケンスを行う。微生物群集データと系統情報を使って、α・β・系統的多様性を計算する。これらの多様性指標が、伐り残された樹木の単木情報によってどの程度説明されるかを、統計モデリングによって明らかにする。多変量解析によって、多様性パターンから、その裏にある形成メカニズムを推察する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたDNAシーケンスが、分析の都合上4月にずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のDNAシーケンスに使用する。
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