2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a prediction method and diagram representation of optical properties of cellulose derivatives based on computational chemistry
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16K18733
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
早川 大地 昭和大学, 薬学部, 助教 (20761141)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セルロース誘導体 / 複屈折 / 計算化学 / 密度汎関数法 / 光学フィルム / 複屈折予測 / 光学特性ダイアグラム / セルロースアセテート |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度作成したコンピュータプログラムの改良と実験値と比較するための追加プログラムの作成を行った。前年度作成したプログラムは、セルロースアセテート繰り返し単位のある一つのコンフォマーについて固有複屈折を算出するものであった。本年度は、様々なコンフォマーを発生してそれぞれ分極率を計算し、固有複屈折を計算した上で、各コンフォマーのエネルギー値によってアンサンブル平均を計算するという一連のプロトコルと必要なプログラムを作成した。なお、分極率計算のみ既存の量子化学計算プログラムを活用し、それ以外の計算を行うプログラムを本期間内に作成した。また、セルロースアセテートをモデル分子として、7種類各9コンフォマー(約60モデル)を生成し、計算を適用した。この方法の完成によって、計算値を実験値と直接的に比較することが可能となった。セルロースジアセテートおよびセルローストリアセテートフィルムの複屈折(実験値)と計算値を比較した結果、定性的に良い一致が見られた。この方法は、様々なセルロース誘導体やポリマーアロイにも適用可能である。次に、セルロース誘導体の光学特性を視覚的に見やすく表示するためのダイアグラム化についても検討を行った。高分子の溶解の分野ではハンセンの溶解度パラメータの三次元表示が、薬物の構造活性相関においてはCraigのプロットがあり、どちらも様々な化合物の物理化学的類似性や特徴を抽出したり視覚化するための方法として広く知られている。本研究では、これらのアイディアに倣い、セルロース誘導体の光学特性をダイアグラム化する方法を検討した。その結果、セルロースアセテートの平均分極率-分極率異方性を二次元プロットすることで、アセチル化度の違いによる光学特性の変化や特徴を一枚のグラフで表示できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通りに研究が進んだと言えるので、内容的には概ね順調に進んでいると考えている。学術論文における誌上発表については、当初昨年度までの成果を発表する計画であったが、本年度の検討の結果、計算結果と実験値の比較において興味深い成果が得られたので、本年度の成果も含めて誌上発表を行う方針に切り替えた。これに伴い、一年間の期間延長を申請し、この延長期間の間に国際誌における誌上発表を行いたいと考えた。一年間の延長を申請しているため、「やや遅れている」と評価せざるを得ないが、研究そのものとしては概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究成果を国内学会と国際誌での発表を行うために、主に論文(報告書)の作成と、必要な追加計算を行う。研究費は、主に学会発表のための旅費や論文投稿のための英文校正などに使う予定である。また、必要な消耗品の購入にも一部利用する。
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Causes of Carryover |
本年度までの成果を含めた研究成果を国内外に広く発表するため、国内学会での発表および国際誌での誌上発表を行う必要が生じたため。研究費は、主に学会発表のための旅費や論文投稿のための英文校正などに使う予定である。また、必要な消耗品の購入にも一部利用する。
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