2016 Fiscal Year Research-status Report
Linkage disequilibrium mapping using closely related species -Toward the identification of sex-determining gene in genus Seriola-
Project/Area Number |
16K18741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小山 喬 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員 (40749701)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ブリ属 / 性決定遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的はブリ近縁種であるヒラマサとカンパチのゲノム情報を利用して、ブリ属性決定遺伝子を同定することである。初年度である平成28年度は、ヒラマサとカンパチの両魚種について各10個体(雌雄5個体ずつ)の全ゲノムリシーケンスを行い、これまでに構築したブリ全ゲノム配列へのマッピングを試みた。その結果、両魚種とも約98%のリードがマッピングされ、ブリ近縁2種でもブリゲノム配列がリファレンスとして使用可能であることが示された。また、マッピングデータよりSNP抽出を行い、連鎖不平衡(LD)解析に付したところ、ヒラマサでは若干のLDが観察されたものの、カンパチでは全く観察されなかった。このことは、ブリで同定できなかった性決定遺伝子が、カンパチを用いることで同定できる可能性が高いことを示している。以上のことから今年度行った研究により、ブリ属性決定遺伝子の同定にせまることができた。 また、解析個体数が少ないために統計的有意性は今のところ出ていないが、ブリ属3種において、性と完全に相関があるSNPを見出した。当該SNPは、ブリ全ゲノム配列より予想した遺伝子のエキソン上に存在しており、非同義アミノ酸置換を伴うものだった。本遺伝子を相同性解析に供したところ、性分化に関与することが報告されている遺伝子であったため、ブリ属性決定遺伝子である可能性が非常に高いと考えられた。 現在、性決定遺伝子同定を確実なものにするため、さらなる遺伝統計解析を進めるとともに、可能性が強い遺伝子について、組換えタンパク質を用いた性状解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目的である、ブリ属性決定遺伝子の有力候補を見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、網羅的に抽出したSNPからランダムに70座位程度を選定し、HRM解析に供す予定だった。しかし、カンパチで予想よりもはるかにLDの程度が低く、性決定遺伝子同定を確実なものにするためには当該遺伝子座周辺の全SNPについて、100個体程度のジェノタイピングを行う必要がでてきた。よって、予定していたHRM解析によるジェノタイピングは行わず、Long PCR法により性決定領域を増幅し、次世代シーケンサーを用いて全SNP情報を取得する方法に変更することとした。すでにlong PCRは終了しており、今年度の早い段階で次世代シーケンサーのランを目指してライブラリ調整を進めている。本研究は国内外の他の研究チームと競争の状態に陥ってしまったため、シーケンスデータ取得後は早急に相関解析を行い、予想している性決定遺伝子にピークが観察されれば、論文投稿を行う。
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Research Products
(4 results)