2017 Fiscal Year Annual Research Report
Linkage disequilibrium mapping using closely related species -Toward the identification of sex-determining gene in genus Seriola-
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16K18741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小山 喬 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (40749701)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ブリ属 / 性決定遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的は、遺伝学的に同定できなかったブリ性決定遺伝子を、ブリ属近縁種群を用いて同定することである。今年度は、平成28年度に見つけたブリ属性決定遺伝子候補を確実なものにするため、性決定遺伝子候補周辺で強い連鎖不平衡が観察されなかったカンパチを用いて、研究を推進した。 性決定遺伝子を遺伝学的に同定するにあたり、約1Mbのカンパチ性決定遺伝子領域ゲノム配列をターゲットエンリッチメント法により取得した。次いで、96尾のカンパチ野生個体(雌雄各48尾)のターゲット領域ゲノム配列をMiSeqにより取得し、相関解析を実施した。その結果、ステロイド代謝酵素であるHsd17b1遺伝子のエキソン上に存在し、非同義置換をもたらすSNPが性と非常に強い相関を示すことを見出した。当該SNPは野生ブリの性とも完全に相関していたことから、ZW型ブリ属性決定機構の遺伝的基盤を明らかにした。 Hsd17b1は雌性ホルモンであるエストラジオール(E2)を作り出すのに必須の遺伝子である。ブリ属性決定SNPはZ型とW型対立遺伝子の144番目のアミノ酸サイトでそれぞれグルタミン酸とグリシンをコードしていた。各対立遺伝子の組換えタンパク質を作製し、E2合成能を比較したところ、Z型ではW型に比べて有意に活性が低いことが明らかとなった。それぞれの対立遺伝子の演繹アミノ酸配列とヒトHsd17b1立体構造データを用いてMDシミュレーションを行ったところ、Z型では144番目のグルタミン酸がHsd17b1活性中心とE2との間の水素結合ネットワークの形成を阻害していることが明らかとなった。 また、カンパチHsd17b1は形態的性分化前後のカンパチ生殖腺体細胞で発現し、雌雄間の発現量の差は認められなかった。 以上のことからブリ属の性は、Hsd17b1によるE2合成能の、遺伝的雌雄間の差異に起因することが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)