2016 Fiscal Year Research-status Report
熱帯性魚類の月齢同調産卵を制御する脳内ネットワークの探索
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16K18753
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 悠記 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (00754904)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 月齢同調産卵 / 時計遺伝子 / 月周性 / アイゴ / Cryptochrome |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯から温帯の広い海域に棲息するアイゴ類およびハタ類は繁殖期の間、種ごとに特定の月齢で一斉に産卵することが知られている。この現象は月齢同調産卵と呼ばれ、約1ヶ月周期の月の満ち欠けにともなう月光の照射強度および照射時間や月光波長の変化といった夜間光の周期的な変化が本現象の主要な環境因子であると考えられている。本研究課題は月齢同調産卵魚の一つであるゴマアイゴにおいて時計遺伝子が月齢依存的に発現変動することに着目し、本種が夜間光情報を基に産卵月齢を認知する分子機構、および夜間光の周期的変化が生殖内分泌軸を活性化させる神経回路の解明を目指す。 平成28年度は、沖縄島周辺のゴマアイゴの産卵期である6月から7月において本種の脳内に発現する時計遺伝子をRNA-seqにより網羅的に同定した。その結果、5種のCryptochrome(Cry)遺伝子および4種のPeriod(Per)遺伝子が脳内で発現することが明らかとなった。続いて、これらの時計遺伝子発現の月光応答性と概月振動性を細分化した複数の脳部位においてRealtime qPCR法により精査した。その結果、ゴマアイゴの間脳におけるCry3発現は月光情報の存在下においては新月周辺で発現が上昇し満月周辺で発現が減少する1カ月周期の変動を示す一方、1カ月以上月光情報を遮断した場合においては変動が消失することが示唆された。また、間脳域におけるCry1b発現が月光照射に対して即時的に応答し、発現量が減少することが明らかとなった。以上の結果から、ゴマアイゴは砂時計型のタイマー機構を用いて産卵月齢を認知している可能性があり、タイマーの駆動にCry3およびCry1bが関与していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ゴマアイゴにおいて未発見の時計遺伝子配列情報の取得から、それらの発現定量を実施することに加え、各遺伝子における月光応答性と概月振動性について十分に評価することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
月齢認知機構におけるCry3を用いた砂時計型タイマー仮説を検証するために、長期的な月光遮断条件下において人工月光を照射した際の間脳におけるCry3発現挙動を調べる。また、Cry3 mRNA発現のより詳細な局在を組織学的に調べ、その細胞の神経ネットワークをDiトレーサー投与により可視化することを試みる。その後、GnRHニューロンやGtH産生細胞との連絡経路をさらに追及することで月光情報に基づいた産卵制御機構の神経回路の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
実験必要試薬を自作することにより必要経費を抑えることができたため、若干の繰り越し金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額が少額であるため、次年度の消耗品費に充てることを計画している。
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