2017 Fiscal Year Research-status Report
農地の賃借料設定への地域的関与のあり方―参考賃借料制度の効果に着目して―
Project/Area Number |
16K18759
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
堀部 篤 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60709640)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農地の賃借料 / 標準小作料制度 / 農業委員会 / 農地の利用調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
標準小作料制度廃止後における農地の賃借料設定への地域的関与について、①全国的な動向の調査および分析、②先進的な事例調査および分析を進めた。 ①全国的な動向については、全国の全農業委員会のホームページを調査し、公表されている賃借料の情報を整理するとともに、農業委員会等の公的機関が賃借料の目安を出している例を探索し、50程度の例を発見した。公的機関が参考賃借料を公表している場合の、公表方法、公表資料を整理した。 ②先進的な事例については、山形県鶴岡市、山形県酒田市、青森県西目屋村、北海道農業公社、北海道深川市、北海道当麻町の調査を実施した。北海道および山形県は、多くの農業委員会が、標準小作料制度廃止後も参考賃借料を公表している数少ない道県である。また、青森県西目屋村は、農地の地域的な管理について、先進的な取り組みを行っている。それぞれの地域における参考賃借料を定めるに至った経緯、具体的な算定方法、賃借料への影響を考察した。 参考賃借料水準の算定については、客観的な水準とするために多くの苦労が見られた。標準小作料制度開始時と異なり、米生産者の販路や規模が多様となる中で、経営情報から妥当な水準を導き出すのは容易ではないからである。また、米生産費調査について、市町村レベルで多くの標本数があるわけではないことと、独自に経営調査を行うことも困難なためである。そのため、参考賃借料の算定においては、経営の個別要素の積み上げよりも、経営環境の経年変化と、近隣市町村との比較が重要な検討素材となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国的な動向については、ホームページの情報から、データベースの作成を進めている。標準小作料制度廃止直後の情報については、機関調査を通じて今後入手する。 実態調査については、先進的な事例について概ね概要を把握できた。 研究成果の公表については、投稿していた論文が掲載された。上記の事例調査、データベースの作成、分析を進め、来年度行う。
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Strategy for Future Research Activity |
全国的な動向については、標準小作料制度廃止直後の情報と、廃止前の情報を入力する。廃止前の情報は、紙ベースの調査結果が利用可能である。米価や労働市場のデータと合わせて、計量的な分析を行う。標準小作料制度廃止直後の情報については、機関調査を通じて入手する予定であるが、交渉中である。 事例分析では、先進地域の詳細な調査を行う。特に、設定された参考賃借料が、実際の賃借料設定にどの程度影響を与えているか、検討する。 上記の結果について、学会報告、学会誌投稿を実施する。
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Causes of Carryover |
データ入力と処理に使用する予定だった費用について、データの入手が遅くなったため、次年度使用額が生じた。次年度に予定通りの額を執行する計画である。
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