2016 Fiscal Year Research-status Report
農地の有効利用に向けた公式・非公式の制度に関する経済分析
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16K18762
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 大輔 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授(任期付) (30619812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農地制度 / 土地集積 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、「農業集落が農地利用調整に果たす機能に関する分析」について、定量的な分析を行った。本課題に関しては、滋賀県を事例にして、農地の集積に対する公式・非公式の制度の役割について、概念的なモデルの提示と数量分析を行った。分析結果からは、農地の利用調整の有無や農地の大規模経営への集積などに対して、圃場整備事業の実施や集落内のソーシャルキャピタルの水準の代理変数が有意な影響を与えることが明らかになった。研究成果は、2016年11月に台湾・台北で行われた国際学会Taiwan-Korea-Japan Agricultural Economics Conferenceにおいて口頭報告を行い、早稲田大学現代政治経済研究所のワーキングペーパーとして公開した。また、数理的モデルの追加などのワーキングペーパーの改訂を行い、国際学術誌に投稿するための準備を行った。さらに、滋賀県の農地利用に関する行政関係者に対する聞き取り調査を行い、分析結果の現実性や政策的な意義についての考察を行った。 第二に、「農地制度に関する知見の総合化と国際比較」について、台湾の農地問題についての研究を行った。本課題に関しては、台湾における作業受委託と農地貸借が農業経営の効率性に与える影響を確率フロンティアモデルによって分析し、作業受委託を行う経営の効率性が低いことや、効率性の格差は経営規模が大きいほど広がることを明らかにした。研究成果は国際学術誌であるChina Agricultural Economic Reviewにて刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「農業集落が農地利用調整に果たす機能に関する分析」に関しては、当初の計画どおりに進展し、研究成果の国際学会における口頭報告とワーキングペーパーとしての公表を行うことができた。また、台湾の農地問題については、当初の計画よりも早く研究成果を出すことができた。その他の課題についても、データの整備や研究協力者との打ち合せを進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「農業集落が農地利用調整に果たす機能に関する分析」について、2015年センサスの統計が公開されるのに合わせて、全国的なデータを用いた分析を行うことで、分析結果の一般性を検討する。また、農林水産省がセンサスの個票データの利用促進や地理情報システム(GIS)データベースの公開を行っているのに合わせて、ミクロデータを用いた仮説の検証を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
おおむね計画どおりに使用しているが、物品費の支出が当初の見積もりよりも少なかったことなどから次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画よりもデータの利用可能性が広がっているため、共同研究者との打ち合せの旅費などとして使用する計画である。
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