2018 Fiscal Year Research-status Report
農地の有効利用に向けた公式・非公式の制度に関する経済分析
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16K18762
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
高橋 大輔 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (30619812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農地政策 / 総合生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、「農業集落が農地利用調整に果たす機能に関する分析」に関して、定量的な分析を行った。本課題に関しては、滋賀県を事例にして、農地の集積に対する公式・非公式の制度の役割について、概念的なモデルの提示と数量分析を行った。前年度までの研究成果に基づき、国際学術誌International Journal of the Commonに論文を投稿し、論文が受理された。また、2019年3月6日に法政大学で行われた「生物多様性のための農業環境支払い国際シンポジウム」のセッション「環境直接支払いに関する研究会」において、同論文が農業環境政策に対して持つ意義について論じた。これらの成果は、本研究において中心的な位置を占めるものである。 第二に、「農業発展に対する土地資本の貢献に関する分析」に関して、戦後の日本農業に関する長期経済統計を推計し、トルンクヴィスト指数法に基づく総合生産性を計測することで、日本農業の総合生産性がどのように推移したかを明らかにした。分析結果からは、1980年代半ばまでの生産が拡大していた時期と、その後の生産が縮小した時期において、ほぼ同率の生産性の上昇が起きていたことがわかった。分析結果は2019年日本農業経済学会においてポスター報告を行い、報告を行った共同研究者がポスター賞を受賞した。 第三に、「農地制度に関する知見の総合化と国際比較」に関して、台湾・韓国の農業政策について、これまでに行ってきた台湾人研究者との意見交換に加えて、韓国人研究者との意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「農業集落が農地利用調整に果たす機能に関する分析」に関しては、研究成果を国際学術誌と国際シンポジウムにおいて発表することができた。今後、データの利用可能性が広がっていることを踏まえて、国内外との研究者と協力して研究計画を遂行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「農業集落が農地利用調整に果たす機能に関する分析」について、京都大学農林水産統計デジタルアーカイブを利用した研究を行うことで、これまでの研究をさらに拡張した研究を行っていく。また、農林水産省がセンサスの個票データの利用促進や地理情報システム(GIS)データベースの公開を行っているのに合わせて、ミクロデータを用いた仮説の検証を行っていきたい。さらに、台湾人・韓国人研究者と協力して、農地政策に関する国際比較に関する研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
(理由) おおむね計画どおりに使用しているが、物品費の支出が当初の見積もりよりも少なかったことなどから次年度使用額が生じた。 (使用計画) 当初の計画よりもデータの利用可能性が広がっているため、共同研究者との打ち合せの旅費などとして使用する計画である。
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