2021 Fiscal Year Research-status Report
農地の有効利用に向けた公式・非公式の制度に関する経済分析
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16K18762
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
高橋 大輔 拓殖大学, 政経学部, 教授 (30619812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農地集積 / 農業政策 / 集落営農 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、「集落営農による集団的農地利用の成立条件-北陸・近畿6県の事例-」という論文を執筆した。分析結果からは、基盤整備率や寄り合いの回数などの集落機能に関する変数が、集落営農による集団的な農地利用と有意な正の相関関係があることが明らかになった。この成果は、書籍の一章として2022年1月に刊行された。また、同論文をベースとして、農地分散の解決策を「アンチコモンズの悲劇」の観点から論じた英文の論文を執筆した。この論文は、2021年8月にオンラインで開催された国際農業経済学会(ICAE2021)にて口頭報告を行った。そして、大幅な加筆修正を行った版を国際学術誌に投稿し、現在は査読の最終段階にある。 第二に、「日本農業の長期経済統計の推計と分析:1963~2011年度」という、戦後の日本農業に関する長期経済統計を推計し、日本農業の総合生産性がどのように推移したかを明らかにした論文を執筆した。この論文は、2021年8月にオンラインで開催された国際農業経済学会(ICAE2021)にて口頭報告を行った。現在は、学術誌への投稿の準備を進めている。 第三に、台湾において、米の生産販売契約を行う特別区域に指定されることが、農地利用に与える影響を分析する研究を、台湾人研究者との国際共同研究として行った。本研究では、集落レベルのデータを集計して差の差(DID)分析を適用した結果、特別区域への指定が農地集積を促進する効果を持つことを明らかにした。この論文は、2021年12月にオンラインで開催されたアジア農業経済学会(ASAE2020)にて口頭報告を行った。そして、論文を国際学術誌に投稿して、現在は査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、国内・海外の学会への対面での参加や国際共同研究の推進が難しくなっているものの、研究成果の最終的な取りまとめに向けて着実に研究を進めることができた。特に、オンラインの国際学会において3件の口頭報告ができたことが大きな成果と言える。また、オンラインでの会議ツール等を取り入れることによって、対面での打ち合わせを行わずに共同研究を進める体制も整備することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は既に最終段階にあるため、これまでの研究成果を学術誌等にて刊行することを中心に研究を進めていく。また、オンラインの国際学会への参加やビデオ会議等を用いた共同研究に加えて、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、対面での学会発表や研究打ち合わせを行っていく。
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Causes of Carryover |
対面での参加を予定していた国内学会や国際学会がオンライン開催となり、参加費や旅費として使用を予定していた経費に余剰が生じたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額の金額は、論文の学術誌への投稿に必要な経費や、オンラインでの学会参加の経費に加えて、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、対面での学会参加や研究打ち合わせに使用する予定である。
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