2016 Fiscal Year Research-status Report
農業・食料資源を活用した地域経済循環に関する分析手法の開発とその実証的研究
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16K18766
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池島 祥文 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (20607923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地産地消 / 都市農業 / アグリ・フードネットワーク / 市町村別農業生産量・生産額 / 直売所 / 地域経済循環 / ローカルフードネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、第一に、地産地消の効果を分析するための基礎データとして、横浜市で生産される農産物の生産量および生産金額の推計作業を進めた。2008年度を最後に市町村別農業産出額は統計が取られなくなり、市町村別の品目別生産量・生産金額は把握できない状況にあった。そこで、横浜市での品目別生産量・生産金額を推計するために、独自の手法で推計している先行研究を参考に、市役所の担当者との意見交換を通じて、その手法の妥当性について検討を行った。その結果、他地域を事例とした先行研究の手法では、多品目少量生産で、農協への共同出荷よりも個人による販売が主流であり、統計的に把握しにくい産地である横浜市には適用できないという結論にいたった。そのため、過去実績をもとに、その後の推移を推計する手法を採用し、それに基づいて現在の生産量・生産金額を推計した。特に、販路の違いによる単価設定の相違を組み込んだ生産額推計値は、実態に近い結果が表れたと考えられる。 第二に、農家、流通事業者、JAに対してヒアリングを実施し、流通経路や取扱量・金額についての情報収集に取り組んだ。市場出荷以外の市場外流通に関するデータについては、整理された統計情報がないため、個別のヒアリングからの構築となった。入手できた情報を用いてデータセットを構築し、暫定的なアグリフードネットワークを可視化させた。第三に、地域経済循環を定量的に示すための手法についての開発に取り組んだ。政府統計をベースに、加工・編集を通じて、経済取引に伴う地域間での資金移動をデータで捉えるための準備を進めていた。 地産地消の流通経路の把握や地域経済循環の定量的把握自体、データがない中での試行錯誤であったものの、部分的なデータセットにせよ、今後構築していく循環構造やネットワーク構造を素描することができ、研究の方向性が明確になった意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画のうち、スーパーや小売店舗への調査が十分実施できていないものの、研究の骨格となる基礎データの作成やデータ処理の方向・手法が定まった点は全体の進度にとって十分な成果を得たといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ調査数が少ないため、次年度以降は調査対象を増やし、より実態に即したデータの入手に励むとともに、収集できた情報を用いて、データセットの構築・拡充を進める。また、先行的に、取り組んだ成果を学術論文にとりまとめ、方法論やその視点についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初、データ処理・加工編集作業を外部委託する予定であったが、内容が複雑であり、自分自身で対応する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ処理の方法を簡素化したうえで、作業の外部委託を図るとともに、開発する手法やその解析結果の妥当性を検証するためにも、専門家との意見交換を進めるための旅費として利用する。
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Research Products
(5 results)