2016 Fiscal Year Research-status Report
地域に根差した食農文化の多様性評価モデルの開発-東アジアの在来品種の維持を中心に
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16K18767
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
冨吉 満之 久留米大学, 経済学部, 准教授 (20506703)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 在来種 / 伝統野菜 / 熊本 / 阿蘇地域 / 世界農業遺産(GIAHS) / 中国社会科学院 / 黒菜 / 博多ふるさと野菜 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年9月に、所属機関(久留米大学経済学部)が連携している中国社会科学院人口と労働経済研究所を訪問し、中国における在来品種の保全や地域農業の在り方に関する情報交換を行った。また、今後の調査実施における協力関係を構築した。 国内の調査に関しては、熊本を主な対象として予定していたが、2016年4月に大地震が発生し、県内各所に大きな被害が出たため、上半期に現地調査は行わず、これまでに実施したアンケート調査の分析、論文作成を進めた。また、下半期には2016年に3月に設立された「くまもと在来種研究会」のメンバーと、県内の在来品種の保全と活用に関する調査内容について議論を行い、当面は小国町にある黒菜などを主な対象としていくことを決定し、関係者とのコンタクトを進めた。小国とは別に、山都町東竹原地区で進められている「みさを大豆」の復活、普及活動について、複数回にわたって現地を訪問し、ヒアリングを行った。地域での栽培体制やイベントなど地域活動との関連性について、継続性の観点から分析・評価を行っていく予定である。 また、2016年度より、所属機関が福岡県の久留米大学に変わったため、福岡県内の在来品種の調査を進める準備を行った。 食農文化の多様性指標に関しては、研究協力者の西川芳昭氏(龍谷大学経済学部教授)や根本和洋氏(信州大学農学部助教)と研究会などで議論を行い、先行研究レビューの内容も踏まえて検討を行った。具体的には、特定の地域あるいは作物などに特化して、モデル地域での調査を進めながら指標を改善していく形で、次年度以降の計画を進めていくことを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査に関して、2016年4月中旬に大地震が発生し、県内各所に大きな被害が出たため、上半期に現地調査は行うことは差し控えた。一方で、現地の研究協力者や熊本在来種研究会のメンバーらとの検討を進め、下半期には予備的な調査を行うことができたため、次年度に阿蘇地域を対象とした本調査を行う基盤を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
国内に関しては、熊本および福岡での調査を中心に実施し、必要に応じて金沢や京都など比較地域での調査を検討する。福岡に関しては、熊本でのネットワークや調査計画と連動させながら、アクセスが容易である立地条件を活かして、農家の方などとの密なネットワークを構築しながら調査を進める。 海外に関しては、中国への調査を実施すると共に、韓国、台湾への調査準備を進める。
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Causes of Carryover |
平成29年4月に熊本地震が発生したことから、熊本への現地調査や打合せを延期する必要があり、それによって旅費の支出が大きく減少したことによる。また、平成29年4月より所属機関が変わり、移籍初年度は研究基盤構築に対する支援があったため、物品・消耗品などの支出を抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、熊本や国内での調査回数を増やす予定である。また、データ入力などの人件費(謝金)を申請時の計画よりも重点化する。これにより成果発表に向けての準備を強化する。
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Remarks |
<招待講演> ・冨吉満之「在来品種や農を活かした地域づくり」在来種野菜講演会,熊本県山都町東竹原,2017年3月12日.
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