2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18768
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
椙本 歩美 国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (90648718)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グリーン・ツーリズム / 農村起業 / 農村女性 / ライフストーリー / 地域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究は、(1)文献調査、(2)現地調査によるデータ収集、(3)学会等での研究発表を中心に行った。 (1)文献調査:農村起業とくにグリーン・ツーリズムに関する既存研究のレビューを通して、日本国内の事例や概念枠組みについて知識を深めた。またオーラル・ヒストリーに関する文献や事例研究のレビューと通して、方法論ついての知識を深めた。 (2)現地調査:秋田県西木町の農家民宿経営者への聞き取り調査を実施し、ライフストーリーの採録を行った。多世代のライフストーリーの採録を通して、調査地域での農村や家族のあり方の変化について理解を深めることができた。 (3)学会発表:(1)と(2)の研究をもとに、日本オーラル・ヒストリー学会で研究発表を行い、参加者から今後の論文執筆に向けた有意義なコメントを得ることができた。 その他、地元の新聞秋田魁新報の依頼執筆(計8回)や、秋田県内での招待講演(雄和ガイドボランティアの会第27回研修会、2017年11月19日)やシンポジウム・コーディネーター(大仙市男女共同参画都市宣言10周年記念フォーラム、2017年11月26日)など、研究から得た知見を広く社会に還元するための活動を行った。また2018年1月から1年間の予定で、イギリスのグリーン・ツーリズムを学ぶため、バッキンガム大学で研究をしている。イギリスでの文献調査や現地調査で得た知見を、日本とくに調査地の秋田県の農村への理解に役立てている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査、現地調査、研究発表ともに、おおむね順調に進んでいる。文献調査については、計画の通り、政策や農村社会学に関するレビューを行った。また日本の状況をより理解するために、海外事例についても知見を広げる計画であったが、これは2018年1月より1年間イギリスで研究を行いながら、実行できている。秋田県仙北市西木町の農家民宿への聞き取りについては、昨年度の聞き取り調査で不十分であった点について、計画通り、2家族4名へ追加インタビューを行った。これをもとに、文献調査を加えて考察した内容について、学会発表を行った。学会発表では、論文投稿に向けた有意義なコメントを参加者から得て、論文執筆を進めることができた。ただし、計画していた2つの学会発表のうち、1つは自身の大学業務の都合と研究の進捗状況をふまえて実施しなかった。また地元の新聞への依頼執筆(8回)、招待講演、シンポジウム・コーディネーターを通して、研究から得た知見を、広く社会一般に還元することもできた。 ただし、当初予期していなかったこととして、2018年1月から12月までイギリスでグリーン・ツーリズムに関する調査研究を行う機会を得た。ここで得られた知見をもとに、本研究をさらに発展させていくことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、以下の研究活動を通して研究課題に取組んでいきたい。 (1)文献調査:日本と海外の農村社会学、農村起業とくにグリーン・ツーリズムに関する文献調査を行い、関連する諸概念や多様な事例への理解を深める。 (2)現地調査:イギリスの農村起業とくにグリーン・ツーリズムに関する現地調査を行い、当該地域への理解を深めるとともに、日本や秋田県の農村起業およびグリーン・ツーリズムへの理解を深めるための知見を得る。秋田県仙北市西木町の農家民宿経営者のライフストーリーの採録を継続する。また西木町の地域連携事業についても、関係者へのインタビューを通して情報を収集する。 (3)研究発表:これまでの調査研究の成果を、国際学会(American Anthropological Association Annual Meeting)およびイギリス・バッキンガム大学のセミナーで発表する。また学会発表をふまえて論文執筆および投稿を行う。
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Causes of Carryover |
当初予期していなかったこととして、2018年1月から12月までイギリスのバッキンガム大学で研究を行うこととなった。そのため、この間に予定していた日本国内での集中的な現地調査などの研究を行うことができず、次年度使用額が生じた。またイギリスに移動した後も、研究や生活を行うための環境を整える必要があったため、研究費の使用額が少額となり、次年度使用額が生じた。 次年度の使用計画は、イギリス国内での現地調査および文献調査、さらにアメリカで11月に開催される学会発表の経費として使用する予定である。とくにイギリス国内での農村調査では、交通費や宿泊費の面において、日本での調査費用よりも多くの経費を要する。また平成29年度の学会発表は、日本国内のみであったが、次年度はアメリカでの学会発表を予定しているため、それにかかる経費も申請時の計画よりも多くなる見込みである。このように、次年度使用額と次年度文として請求した助成金を合わせることにより、次年度の研究を遂行することができると考えている。
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