2016 Fiscal Year Research-status Report
認可地縁団体による入会林野所有の実態把握-入会権の二極分化説の検証に向けて
Project/Area Number |
16K18769
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Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
山下 詠子 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 助教 (10733561)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 入会林野 / 入会権 / 認可地縁団体 / 公益法人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域の共有林である入会林野について、近年全国的に進んでいる記名共有名義の入会林野の認可地縁団体名義への変更の動きに見られる入会権の変容を検証することを目的としている。なお、入会権の権利の変容を捉える際には、入会林野の所有名義と連動する、入会集団の法的な形態の変更に着目する。 本年度は、従来の公益法人に由来する一般社団法人・一般財団法人から認可地縁団体への移行の動きを把握するために、公益法人による入会林野所有の事例が多く存在する東京都青梅市において詳細な現地調査を行った。その結果、青梅市内で入会林野を持つ公益法人には、公益法人改革により一般社団法人、一般財団法人へと移行しつつ存続する団体がある一方、一部の団体は実質的に法人を解散したもの、また認可地縁団体へと移行するものも見られた。また、入会林野の管理という観点では、多くの団体において森林管理の金銭的・人的な資源が不足しているものの、東京都保全地域への指定を通じて企業と連携して森林管理を行う団体や、急激な都市化の中でゴルフ場の開発を伴いつつ財産管理を行う団体も確認された。これら都市近郊の入会林野としての特徴や歴史的経緯を踏まえつつ、入会権の内容がどのように変容してきたのか、引き続き現地調査を深めて把握していく。 また、本年度は日程の都合で予定していた学会発表は実施できなかったが、本研究の位置づけをより明確にするために、当該分野における研究レビュー論文を執筆し、投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査は東京都について集中的に実施したため他地域では実施できなかったが、東京都における現地調査は予定したよりも多くの事例で実施でき、また調査内容にも広がりのある研究結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
入会林野を持つ公益法人が集中して存在する他地域においても、東京都と同様の詳細な実態調査を実施し、あわせて入会集団の認可地縁団体への移行も把握することで、各入会集団における入会権の変容を実証していく。
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