2017 Fiscal Year Research-status Report
高解像度アンサンブル気象予測に基づく水稲障害に対する確率予測システムの構築
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16K18775
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
吉田 龍平 福島大学, 共生システム理工学類, 講師 (70701308)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 冷害予測 / 気象予測 / 水稲生育シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
力学的ダウンスケーリングした2週間気象予測データを水稲生育モデルと組み合わせ、東北地方における2000-2009年の10年間の夏を対象に冷害の予測可能性を検討した。過去30年のアメダス観測値から統計的に作成される気候値予報に比べ、気象予測データは気温に対しては7日程度、冷却量に対しては2週間の予報実験期間において常に気候値予報より高い精度を示した。水稲の生育段階はいずれの予報(気象予測、気候値)を用いても観測値を概ね再現した。気候値予報は生育段階を再現し、かつ日々の気温の変動幅は予報期間の観測値と同程度にも関わらず気象予測と比較して冷害の再現性が低いのは、気温の変動パターンが一致していないためであった。このことは冷害の予測には気象予測データに基づく水稲生育シミュレーションが必要であることを示唆している。
本課題で構築した予測システムは10日インターバルの2週間予報のため、ある予報セットの11-14日目は次の予報セットの1-4日目と同じ日を対象としている。そのため、両者を比較することで最新の予報にアップデートすることが予測誤差の低減にどの程度効果があるかを検討することができる。その結果、誤差低減の効果は季節進行と共に顕著になり、7月上旬では3割程度である一方、8月下旬では8割程度の改善が得られた。これは、水稲生育の段階と周囲の環境の両者が警戒域に入ることが原因であった。そのため、夏の終わりでは直近の予測データで冷害予測を行うことがより重要であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去10年間の夏を対象とした予測実験が終了し、成果の取りまとめに向けて追加解析を行っている。気象データと水稲生育モデルのカップリングとその活用を行う当初の予定は概ね達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果は冷害をカウントする基準温度に不確実性がある状態に基づいているため、基準温度に対する追加解析が必要である。来年度に行う追加実験と取りまとめが終了次第、成果をまとめて学会発表と論文執筆を行う。
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Causes of Carryover |
冷害予測実験において出力する変数の選択や形式を最適化することによりハードディスクの容量を節約することができたため。次年度はその分を英文校閲費や出版費、成果をとりまとめるためのディスク購入費として使用する。
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Research Products
(4 results)